タカラヅカ星組公演 恋のドタバタ「めぐり会いは再び」第3弾 「あー、楽しかった」
2022/04/30 11:30
互いに思い合う礼真琴演じるルーチェ(手前左)と舞空瞳演じるアンジェリーク(同右)=宝塚大劇場(撮影・鈴木雅之)
宝塚歌劇星組公演、ミュージカル「めぐり会いは再び next generation(ネクスト・ジェネレーション)真夜中の依頼人」が、兵庫県宝塚市栄町1、宝塚大劇場で上演されている。行き違いと勘違いから起こる恋のドタバタ劇で、個性豊かな登場人物をトップスター礼真琴(れいまこと)はもちろん、全員が楽しんで演じ、理屈抜きに楽しめる。(片岡達美)
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「めぐり会いは再び」は2011年に柚希礼音(ゆずきれおん)を中心にした星組が上演して大好評。翌年、続編が上演され、本作はさらにその続編。前作で礼が演じたルーチェが10年の時を経て再び舞台に上る。
架空の国の王都マルクト。オルゴン伯爵の次男ルーチェ(礼)は、大学卒業後も定職に就かず、友人レグルス(瀬央(せお)ゆりあ)の探偵事務所の手伝いをしながら居候を決め込む。ガールフレンドのアンジェリーク(舞空瞳(まいそらひとみ))との関係はどうもしっくりいかない。
そんなある日、王家に伝わる秘宝「一角獣の聖杯」を泥棒から守ってほしいという依頼が舞い込む。捜査に乗り出したルーチェは、なぜか王家の娘の花婿候補に選ばれ、国を揺るがす争いに巻き込まれて行く。
恋に不器用なルーチェ役の礼が、見た目も金髪にし、とにかくキュート。花婿選びで腹筋合戦をするなど、コミカルな姿も見せる。思い人、アンジェリークに、本心とは裏腹のことを言ってみたり、すねてみたり。舞空もルーチェが好きなのに素直になれないアンジェリークを好演。鼻っ柱の強さが小気味いい。
電子音を駆使したテーマ音楽、耳になじみのいいJポップ風、1980~90年代のシティポップ風にディスコと、楽曲もバラエティーに富む。
肩の凝らないストーリー展開と、人物の性格付けの妙で、胸のキュンキュンが止まらない、ロマンチックコメディーに仕上がった。
後半はショー「Gran Cantante(グラン・カンタンテ)!!」。「素晴らしい歌い手」の意味のスペイン語で、歌唱力で高い評価を誇る礼が熱いラテンのナンバーを伸びのある声で情熱的に歌い上げる。歌に加え踊り、表現力にも定評がある礼が、舞台をところ狭しと駆け回る。
大階段を使ったド派手なオープニング。フラメンコなどのステップを使い、複雑な構成のフォーメーションで息つく暇を与えない。
高いジャンプ、ポージング、マントさばきと、何をやっても決まる礼。終盤、舞空とのデュエットは白にスパンコールの燕尾服、舞空も白のロングドレスで激しく踊り、盛り上げた。
第108期生の大劇場デビューでもあり、サフランの花をイメージした衣装に身を包み、ラインダンスを披露した。フィナーレでは全員が羽を付け、階段上部を飾る。
「あー、楽しかった」。見終わって思わず口から言葉が出た。