観光船事故で犠牲の夫婦、家族ぐるみで養蜂業 人気の蜂蜜、ふるさと納税返礼品に

2022/04/30 20:16

観光船「KAZU 1」(知床遊覧船のホームページから)

 北海道・知床沖の観光船事故で亡くなった兵庫県小野市の男性(66)と女性の夫婦は、長男が営む養蜂業を手伝っていた。家族ぐるみで提供する蜂蜜は品質が良いと評判で、小野市がふるさと納税の返礼品に選ぶほどだった。 関連ニュース 「気持ちの整理つかない」 知床沖・観光船遭難で犠牲、兵庫の夫婦の知人ら 【写真】斜面に船体、知床沖海底画像公開 測量船「天洋」が現場海域調査 通信手段、船長が携帯電話に変更 事故3日前の船舶検査時

 知人らによると、男性が同市内のメーカーを定年退職した後、養蜂業に携わった。蜂蜜は贈答品やお土産として人気で、女性は商品を市役所などに搬入していた。市職員の男性(48)は「いつも明るく朗らかな声で『持ってきました!』とにこにこしていた」と振り返る。
 イベントでも蜂蜜を出品し、2人は愛想よく接していたという。夫婦の自宅近くに住む女性(58)はフリーマーケットで女性と出会い、「家にも(蜂蜜が)あるから、またおいでねと言ってくれたのに。それっきりになった」と肩を落とした。
 親戚の男性(66)は、夫婦が北海道へ出発する直前、自宅近くの田んぼで世間話をした。「夫婦仲も良くて、これから2人でいろいろなことを楽しもうとしていたところだったのに」と無念さをにじませた。男性が育った兵庫県多可町の集落に住む高齢の男性も「おっとりした、具合のええ子やった」と話した。(杉山雅崇、岩崎昂志、小野萌海)

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