チャイルドシート、正しい付け方は? 5割超が誤使用「緩み」しっかりチェックして
2022/05/01 17:50
子どもが生まれる前の準備で、チャイルドシートの無料点検に訪れた夫婦=神戸市灘区鹿ノ下通2、JAF兵庫支部
自動車事故に遭ったとき、子どもの命を守るチャイルドシート。法律で6歳未満への装着が義務づけられているが、警察庁などの調査によると、誤った使用法の割合が5割を超えていたという。折しも「ウィズコロナ」の意識の高まりから、マイカーでの外出増加が見込まれるゴールデンウイークの真っただ中。チャイルドシートの正しい付け方、使い方などについて、日本自動車連盟(JAF)に取材した。(小尾絵生)
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「取り付けたものの、どの状態が正解か分からなくて…」。妊娠中の女性(29)と夫(25)がJAF兵庫支部に、フリーマーケットアプリで購入したチャイルドシートを持参した。説明書は付いておらず、インターネットで調べても解決しなかったという。
同支部の岡田裕己さん(54)が、マイカーに取り付けられたチャイルドシートを左右に揺さぶると、ガタガタと大きく揺れた。「付け方の手順は合っていますが、固定するシートベルトの締まりが緩いですね」
同支部が行うチャイルドシートの無料点検は、やがて装着の実演に移った。岡田さんがチャイルドシートの座面に膝を乗せて体重を掛けながら、シートベルトを締める。「このとき、しっかり力を入れて引っ張るときちんと固定できます」。その言葉通り、シートが座席に密着し、全く動かなくなった。
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チャイルドシートの効果は大きい。警察庁によると、2017~21年の不使用時における致死率は、適切に使用した場合の5・3倍に達した。「チャイルドシートの有無が命に直結する」と岡田さん。だからこそ、その言葉は熱を帯びる。
点検の際の重要なチェックポイントが「緩み」だという。第一にチャイルドシートを固定するシートベルト。締め付けが不十分だと事故時に座席から外れたり、大きく揺さぶられたりして、子どもが危険にさらされる恐れがあるからだ。
緩みは、子どもをチャイルドシートに座らせる際のハーネスと呼ばれる肩ベルトでも起こりがちだ。岡田さんは「緩んでいると、事故の衝撃で体がシートから飛び出してしまう」と指摘、「厚手の上着のときも、体に沿うように調整して」とアドバイスする。
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チャイルドシートを購入する際にも知っておくべきことがある。
子どもが使用する期間は、1歳ぐらいまでの乳児期(体重約10キロまで)▽1~4歳ぐらいの幼児期(同9~18キロ)▽4~9歳ぐらいの学童期(同15~36キロ)-の三つに大きく分かれる。
だが、製品によって対応期間がさまざまで、長く使えるものほど大きく、重量も増す傾向があるという。どれを選べばいいのか迷った経験のある先輩ママやパパもいるはずだ。
多いのは、最初に乳児期と幼児期共通の製品を購入し、学童期に買い換える方法。岡田さんは「子どもの成長に合わせて使い方の調整も必要。時々説明書を確認して」と締めくくった。
同支部はチャイルドシートの無料点検を随時実施(非会員も参加可)。申し込みは同支部TEL078・871・7561
■使用率、兵庫は約6割
警察庁と日本自動車連盟(JAF)が2019年に行った全国調査では、6歳未満でのチャイルドシート使用率は全体で70・5%(兵庫県は61・8%)にとどまる。さらに年代別でみると1歳未満で88%、1~4歳では72・4%だったのに対し、5歳では48%と大きく低下した。
一方、チャイルドシートを使用している場合でも、正しく取り付けられていない割合は52・4%。うちシートベルトの締め付け不足が約70%、次いで多かったのがシートベルトの通し間違いで約10%だった。
使用法でも、誤っている割合が57・8%を占めた。中でも最も多いのがハーネス(肩ベルト)の締め付け不足で、半数超を占める。次いでハーネスのよじれ、ハーネスの高さ調節の間違いと続く。
00年に6歳未満への装着が法律で義務付けられたチャイルドシート。使用率は年々高まっているものの、いまだに約30%が不使用の上、装着法や使用法の理解も十分深まっていない実態が浮かび上がる。JAF兵庫支部は、使用促進を訴えるとともに、「せっかく使っていても自己流では子の命を守れない」と正しい使い方を呼び掛けている。