こども家庭庁「権限ないなら、つくる意味ない」 泉・明石市長、義務教育政策の移管を主張

2022/05/12 05:30

講演する泉房穂明石市長=東京・内幸町の日本記者クラブ

 兵庫県明石市の泉房穂市長が11日、今国会で設置関連法案が審議されている「こども家庭庁」について、東京都内の日本記者クラブで講演した。法案では同庁が厚生労働省や内閣府の業務の多くを引き継ぐ一方、義務教育の政策は文部科学省から移管されない点を挙げ、「縦割り行政が残ったままなら、むしろつくらない方がいい」と厳しく批判した。 関連ニュース 子育て施策PR合戦 神戸市と明石市 「競争本意でない」でも互いに意識 「まずはおわびを」「私の方も言葉が過ぎたりする関係で」 明石公園樹木伐採問題で斎藤知事と泉市長 繰り返される歴史、明石市副市長の離反劇 「独断的」市政運営、12年前には議会で公然と反旗

 同クラブが主催し、こども家庭庁をテーマに専門家らが語る講演会の一環。
 政府は2023年4月に内閣府の外局として同庁の発足を目指している。子どもに関する施策の司令塔として、子育て支援や虐待防止などに取り組む方針。
 泉市長は、子育て支援策を相次いで打ち出してきた立場から、保育所や幼稚園、認定こども園などの所管省庁や施策がそれぞれ異なる現状を指摘し、「子ども施策の全体を所管する省庁は必要」と強調。ただ、義務教育の政策が文部科学省に残ったままの法案については「権限なしに政策は進まない。文科省が別なら、新しい組織をつくる意味はない」と切り捨てた。
 また、土木費を半減させ、子育て施策に予算や職員を回した明石市の取り組みを紹介。「子どもの生まれない国に未来はない。国も予算を3倍に増やすべきだ」と提言した。(末永陽子)

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