「全員の一括帰国、決して諦めない」「家族が元気なうちに再会させて」 拉致被害者家族会が国民大集会

2022/05/29 21:56

拉致問題の解決を求め、あいさつした家族会代表の横田拓也さん=29日午後、東京都千代田区

 北朝鮮による拉致被害者家族会などは29日、東京都千代田区で、問題解決を訴える恒例の国民大集会を開いた。神戸市出身の被害者、有本恵子さん=失踪当時(23)=の父明弘さん(93)ら約800人が出席。被害者家族の高齢化が進み、鬼籍に入る人も相次ぐ中、「全被害者の一括帰国を決して諦めない」と決意を新たにした。 関連ニュース 恵子さんは平壌に「これで娘は帰れる」しかし… 有本さん家族の希望が怒りに変わった出来事 「恵子は帰る」信じて闘い 拉致被害者の母・有本嘉代子さん 拉致問題解決へ長年ともに闘って… 有本明弘さん、亡くなった横田滋さんに「一番感謝」

 拉致被害者5人が帰国してから今秋で20年となる。明弘さんらは23日、来日したバイデン米大統領と面会して早期解決に協力を求めた。一方、北朝鮮は国内で新型コロナウイルス感染症が拡大する中、弾道ミサイル発射を続けている。
 冒頭、新潟市で拉致された横田めぐみさん=同(13)=の弟で、家族会代表の拓也さん(53)があいさつし、北朝鮮に対する人道支援を求める意見が日本政府内にあることに「北朝鮮側は国際支援を求めておらず、過去の支援は拉致問題解決につながっていない」と反対を表明した。その上で「待っている家族が元気なうちに再会させてほしい。首相の強いリーダーシップを期待する」と述べた。
 集会では、日朝首脳会談などを求める決議案を採択した。
 出席した岸田文雄首相は「いまだに多くの被害者が取り残されていることは申し訳ない」と陳謝し「拉致被害解決は最重要課題。あらゆるチャンスを逃さず全力で行動する」と話した。(末永陽子)

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