宝塚・中2女子転落重傷 元生徒側が市に賠償求める民事調停申し立てへ
2022/06/09 22:28
伊丹簡裁=伊丹市千僧1
兵庫県宝塚市立中学校で2019年、2年生の女子生徒が校舎から飛び降りて重傷を負い、市の第三者委員会が「部活顧問の叱責が原因」とした問題で、生徒側が同市に慰謝料約426万円の損害賠償などを求め、10日に伊丹簡裁に民事調停を申し立てることが分かった。賠償に向けた協議や説明を約束しながら市は対応をせず、けがの回復が見通せない中で救済が不十分だと主張している。
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第三者委が20年3月に作成した報告書によると、生徒は吹奏楽部の練習中、顧問だった30代教諭から「廊下で(打楽器を)100回たたいてこい。出ていけ」と強く叱責され、恐怖感や絶望から突発的に校舎4階から飛び降りた。生徒は体の複数箇所を骨折し、手術を受けて今も通院を余儀なくされている。
生徒側代理人によると、市は報告書を受け、生徒の経済支援として50万円を支払い、最終的な賠償額については今後協議するとの合意を結んだ。しかし支払い後は経過説明も謝罪もなく、消極的な対応が続いているため、生徒側は調停の申し立てに踏み切ったという。
生徒側は市に対して、入院・通院費などに学習機会が奪われたことによる損失を含めた426万3370円の賠償に加え、今後の賠償に向けて生徒や保護者に誠実に向き合うことを求めている。
兵庫県教育委員会は20年6月、生徒を精神的に追い詰めたとして顧問を停職1カ月の懲戒処分とした。(西尾和高)