「返ってきたで」 元陸軍兵の手帳、米国経て孫の元に 姫路出身、沖縄戦で犠牲に
2022/06/13 05:30
返還された手帳と戦死した岡崎梅太郎さんの写真を持つ孫の公一さん=姫路市本町
太平洋戦争末期の沖縄戦で亡くなった兵庫県姫路出身の元陸軍兵、岡崎梅太郎さんのものとみられる手帳が7日、戦後70年以上の時を経て孫の公一さん(64)=姫路市=の手元に届けられた。戦地で使用されていたといい、一度米国に渡ったが、現地の団体を通じて返還が実現した。
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姫路出身の梅太郎さんは1904年に生まれ、38年に旧日本軍に入った。沖縄戦が激化していた45年5月下旬ごろ、陸軍の司令部があった首里で戦死したとされる。
返還された手帳は、太平洋戦争前に当時の兵士らに配られたものとみられる。黄ばんだページの大半は何も書かれていないが、所々に手書きで入隊時期の記録が記されていたり、当時のカレンダーのページが残っていたりした。
米軍側が戦利品として、戦場に残されるなどした日章旗や小物類を持ち帰ったケースは多かったという。手帳も米国の個人が持っていた。日本への遺品返還を進めている米オレゴン州の団体「OBON(オボン)ソサエティ」から日本遺族会に照会があり、県遺族会姫路支部などを通じて公一さんにつながった。
姫路護国神社(同市本町)でこの日、同支部の会員から公一さんに手帳が手渡された。戦後生まれの公一さんは祖父の慰霊のため何度も沖縄を訪れたことがある。「今度行くときには、慰霊碑の前で『返ってきたで』と報告したい。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、平和の大切さを改めて実感した」と感慨深げだった。(山本 晃)