MARUDORI#みんなで考える参院選(3)地域の「生命線」存続の危機

2022/06/29 13:05

日没後、田園地帯を走る列車の光跡=兵庫県神河町

 薄暮に包まれた山あいのまちに鮮やかな光跡が描かれていく。兵庫県神河町、JR寺前駅。出発した列車はエンジン音を響かせて但馬地域へと北上する。 関連ニュース 物価高、コメ問題、社会保障改革…課題山積、募る不安 県内有権者、誰に一票託す 参院選公示 乱戦兵庫、舌戦火ぶた 13人名乗り、3議席巡り攻防 参院選公示 参院選の期日前投票は4日から 兵庫県内では190カ所設置

 姫路-和田山駅間約66キロを結ぶJR播但線は1906年に現在の区間が全通した。以来1世紀以上にわたり、県中央部を南北に走る地域の「足」となり、阪神・淡路大震災では神戸線などが寸断された際の迂回(うかい)路として重要な役割も果たす。
 一方、ローカル線は今、周辺の過疎化に加え新型コロナウイルス禍で乗客数がさらに減り、存続の危機にある。JR西日本は今春、赤字路線の収支を初めて公表。県内では山陰、播但線など4路線、寺前-和田山間を含む6区間が対象となった。
 各沿線の自治体では今まで以上に住民らへの利用呼びかけや、運賃の助成など路線維持へ動き出しているが廃線の不安は消えない。
 眼下の光跡は地域の「生命線」のようにも。輝きが途切れないことを願い、列車の音に耳を傾ける。(秋山亮太)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ