「囲碁界では男女が拮抗、刺激になっている」 棋士試験に挑戦の里見女流四冠【一問一答】

2022/07/06 17:30

会見する里見香奈女流四冠=大阪市福島区の関西将棋会館(撮影・吉澤敬太)

 女性として初めて棋士編入試験に臨む里見香奈女流四冠(30)=女流王座、女流王位、女流王将、倉敷藤花=は6日、関西将棋会館(大阪市福島区)で行われた会見で「少しでも自分の棋力向上を目指し、強い方々と対局できるようにしたい」と意気込みを述べた。主なやりとりは次の通り。 関連ニュース 【図解】棋士へのルート 将棋、里見が女性初のプロ棋士に挑戦 8月以降に編入試験 里見四冠「自信持って戦える」 女流初の八大タイトル本戦へ


 -棋士編入試験に挑むことを決めた理由は
 受験資格を得てから1カ月間、目の前の対局を全力でこなす中で、挑戦したい気持ちが出てきたので挑戦を決めた。
 強い人と対局したい気持ちがある。棋士になれるかどうかというより、自分がどこまでやれるのかというのを重視した。
 自分がより後悔しないような選択をするために、自分の感情が動くかなというのをぎりぎりまで見ていた。最後は自分がどれだけやれるのかなというところで判断した。
 -編入試験に向けての意気込みは
 正直、自分の実力からすると厳しい戦いになると思うので、試験までにできる限りの準備をして全力で臨みたい。
 奨励会時代を含めて5人全員(徳田拳士四段、岡部怜央四段、狩山幹生四段、横山友紀四段、高田明浩四段)と戦ったことがあるが、それぞれ個性があり、まったく違う将棋を指されるので、1局ずつ対策をしっかりしたい。対策は相手によって変わるが、相手というよりも自分が、より力を出しきれるように戦いたい。
 編入試験に向け、5局全体を考えるというより、目の前の対局に全力を尽くして日々頑張っていきたい。
 -女性初の棋士誕生に期待が集まっている
 自分自身が悔いのないように過ごしていきたいが、その中でも皆さまに何か届けることができたらと思っている。
 これだけ多くの方々に注目していただけることを大変うれしく思うのと同時に、そういうこと(女性初)が珍しくないような社会になればとも思う。私自身は自分のことで精いっぱいなので、目の前のことに全力で取り組みたい。
 -将棋は頭脳ゲームだが、男女の力量の差について実感は
 歴史も違うが、現状としてはかなり差はあると感じているので、少しでも埋められるようにしたい。隣の囲碁界では男女が拮抗(きっこう)している印象を受けるので、私自身の刺激となっている。
 -受験を目前にして、棋士になることへの思いは
 奨励会に編入したときは棋士になることだけを考えていたが、いまは純粋に将棋が大好きなので、少しでも自分の棋力向上を目指して強い方々と対局したいという思いだけ。
 奨励会在籍当時と比べると、将棋が指せることがどれだけ幸せなのかに気づけたので、それらが大きく違っている。
 -編入試験に合格した場合、女流棋士としても活動する予定か
 そのつもりでいるが、合格したわけではないので、そうなってから考えたい。
 -近年、成績が好調な要因は
 以前は時間重視で勉強していたが、勉強の方法を変えた。また、AI(人工知能)が強くなっている社会に自分の個性を出せる将棋、自由度の高い将棋を指したいと考えており、それが結果的によくなっていたのかなと思う。
 -AIを使った研究の方法は
 私自身の棋風と照らし合わせてというのもあるが、AIが良しとしている局面と、自分が指しこなしていける局面が一致したところを落としどころにしているので、すべてをAIに頼っているわけではない。
 -編入試験に挑むに当たり、相談した相手ややりとりは
 兄や妹(川又咲紀女流初段)に声を掛けて意見をもらった。私の体調を気遣ってくれる言葉ばかりだったので、それらの言葉がかえって挑戦したい気持ちに変わった。
 -これまでの道のりの中で地元(島根県出雲市)の存在は
 地元にいるときは温かく声掛けしていただいたし、私が10年ほど前に大阪に出てきてからも、常に温かく見守っていただいているので、私が将棋をする上でのモチベーションになっている。
 -終盤の鋭さで知られるが、序中盤の強化は
 自分の印象としては、どちらかというと序中盤型と思っているので、とにかく終盤の力勝負になったときの正確性や終盤力を上げられるように勉強したい。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ