襲撃前日に安倍元首相が応援、自民・末松氏が4選確実 万歳は行わず
2022/07/10 21:20
当選が確実となりタイを掲げて喜ぶ末松信介氏=10日午後8時36分、神戸市中央区元町通1(撮影・坂井萌香)
当選確実の一報が伝わると、神戸・元町の選挙事務所に控えめな拍手が広がった。姿を見せた自民党現職の末松信介氏(66)は硬い表情のまま、万歳三唱に代わる「頑張ろうコール」に合わせて拳を突き上げた。
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「悲しみを力に変えて、頑張ってきた。これで、よい報告ができる」。8日に亡くなった安倍晋三元首相への思いをにじませ、4選の喜びをかみしめた。
過去3回とは様相が異なる、厳しい選挙戦だった。
標的は昨秋の衆院選、兵庫県内の比例票で10万票以上の差をつけられた日本維新の会。神戸・阪神間を軸に演説の日程を組み、物価高対策など市民目線に立った訴えを続けたが、手応えにはつながらない。
「相互推薦」を結ぶ公明党との関係にも苦慮した。3年前の前回参院選で、自民候補が維新、公明に次ぐ3番手に甘んじたしこりが残り、支持層の票が流れる懸念も払拭できなかった。
勝勢をつなぎ留めたのは強い危機感だった。今回の参院選では唯一の現職閣僚。「大臣だから大丈夫」という楽観ムードも広がったが「大切なのは三つの議席に確実に入ること」と打ち消した。選挙戦終盤には、文部科学相としての実績とともに「自民党は地域政党だ」と地元密着を強調するなど懸命にアピールした。
岸田文雄首相ら要人も続々とてこ入れに駆けつけた。7日には安倍元首相が公示後2度目の兵庫入り。「厳しい戦いだが、皆さんの力で必ず勝利を与えてほしい」と有権者らに呼びかけた。奈良県内で銃撃され、亡くなる前日だった。
13人が立つ混戦を制し、支援者から花束を手渡された末松氏。笑顔が戻り、「人材育成と科学技術の発展に努めるとともに、インフラ整備など災害に強いまちづくりを進めていきたい」と4期目の抱負を語った。(小川 晶)
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