産廃施設の建設巡る住民投票、約8割反対 上郡町長、斎藤知事に申し入れへ
2022/07/11 00:15
住民投票の結果を受け、記者の質問に答える兵庫県上郡町の梅田修作町長=10日午後10時34分、同町竹万(撮影・大山伸一郎)
兵庫県上郡町と赤穂市の市町境に計画されている産業廃棄物最終処分場について、建設の賛否を問う同町の住民投票が10日投開票され、賛成1711票(有効投票数の21%)、反対6515票(同79%)で反対多数となった。投票率は成立要件の50%を大幅に上回る68・54%だった。
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住民投票の結果に法的拘束力はなく、処分場建設を許可するかどうかは県が判断する。建設反対を訴えてきた梅田修作町長は結果を踏まえ、「豊かな自然を次世代に残したいという町民の民意が反映された」と述べた。近く、斎藤元彦知事に結果を尊重するよう申し入れ、建設を計画する東洋開発工業所(大阪府豊能町)に撤退を求める。
一方、同社は「安全性などへの理解を深めてもらうため、説明を尽くしたい」とし、建設に向けた手続きを進める方針を示した。
同社が県に提出した事前協議書によると、上郡町側に処分場への進入路、赤穂市側に施設を建設。汚泥やごみ焼却灰などを受け入れ、20年間で産廃約302万立方メートルを埋め立てる。
上郡町では、千種川水系・梨ケ原川の汚染などを懸念し、8連合自治会のうち6団体が計画に反対する住民グループに参加。雇用創出や地域の活性化につながるとして処分場建設に賛成する声もあったが、住民投票では一部にとどまった。
県内の住民投票は、市名変更の是非が問われた丹波篠山市(当時は篠山市)以来、4年ぶり。産廃施設を巡る投票は初めてだった。(地道優樹、村上晃宏)