神戸の「帝国信栄本社」が国文化財に イオニア式の柱、国内最初期の鉄筋コンクリート造
2022/07/22 17:00
JR三ノ宮駅北側の繁華街に立つ帝国信栄本社屋=神戸市中央区琴ノ緒町5(同市提供)
文化審議会は22日、神戸市中央区の不動産会社「帝国信栄本社屋」と豊岡市但東町の江戸期の商家「澁谷家住宅主屋」など136件を新たに登録有形文化財に加えるよう末松信介文部科学相に答申した。
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兵庫県教育委員会によると、帝国信栄本社屋はJR三ノ宮駅北側の繁華街にある昭和初期の2階建てビル。国内最初期の鉄筋コンクリート造で、旧神戸市立生糸検査所(現KIITO)などを手がけた清水栄二が設計した。
古代ギリシャのイオニア式柱頭を模したデザインを施すなど、大正から昭和初期の開明的な雰囲気を知る上で貴重な建物だという。建物は現在も同社の本社ビルとして使われている。
澁谷家住宅は江戸期に絹織物や金融業で栄えた商家で、主屋は1846年頃に建てられた。出石藩の藩主らが宿泊する本陣として使われたほか、明治期には郵便局になり、時代を超えて地域の中心的な役割を果たした建物だという。
天井を低くした「つし二階建て」で、明治期には2階で養蚕が行われた。現在も当主の住居として使われている。
県内の同文化財は223カ所749件となった。(古根川淳也)