瀬戸内海一望、絶景グランピング 豪華ドームテントにサウナ、特産カキでBBQ 赤穂に11日オープン
2022/08/07 11:50
ドームテントの室内。カーテンを開けると瀬戸内海の絶景が広がる=赤穂市御崎
景勝地として名高い兵庫県赤穂市御崎の保養所跡にグランピング施設「ドット・グランピング赤穂」が完成し、11日にオープンする。かつて段々畑だった段差を利用し、インスタ映えするドームテント8棟を設置。隣の保養所棟2階ではサウナで汗を流した後、ベランダで冷水に漬かりながら小豆島や家島諸島など瀬戸内海の景観や夕日を眺められる。(坂本 勝)
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料理店向けに中華麺を製造する新日本製麺(同県福崎町西治)が、新型コロナウイルス対策の国補助金を活用し、約3千平方メートルの土地と建物を購入し、改修工事した。開業は今春を目指したが、半導体などの資材不足も影響し、盛夏になった。
ドームテントは国産で構造計算をした多面体形状。防火性にも優れる。海に面しているため、強風にも耐えられる丈夫な素材を選んだ。室内配置を換えた3種類の部屋は冷暖房完備。カーテンを開けると瀬戸内海の絶景が広がる。坂越特産の養殖カキなど魚介類のバーベキューも用意する。
保養所棟は鉄筋コンクリート2階建て延べ約460平方メートル。休暇を楽しみながら仕事をするワーケーションにも使えるシングル4室を2階に設置。1階はフリースペースと調理場で将来はカフェやランチ提供も構想する。公式ホームページなどで予約可。ドット・グランピング赤穂TEL0791・55・9991
■司馬江漢も称賛 古くから知られた景勝地
「赤穂の塩は日本第一である」。赤穂市が日本遺産の申請で引き合いに出し、認定につなげた江戸後期の画家司馬江漢(こうかん)は、赤穂御崎について「三崎大明神のほこらがある。社は古び、大きな松が巡り、海岸の波は荒く、島が数々見えてよい景色だ」と旅日記に記している。
社と記された伊和都比売(いわつひめ)神社は航海安全や縁結びの神様として古くから信仰を集めてきた。日露戦争の開戦前には、東郷平八郎が勝利祈願に訪れたという。その後も太平洋戦争前まで連合艦隊司令長官が艦隊を率いて海上から参拝した。
赤穂御崎灯台は高さ16メートル。白亜の八角形で、赤穂の市街地や対岸の小豆島など瀬戸内海と沿岸を見晴らす丘の上にある。1950年代後半、千種川右岸の沿岸部で工場建設が相次ぎ、資材を運ぶ船の事故を防ぐため、63年3月30日に設置、点灯された。
■コロナ禍、原料高…事業転換見据え投資 異業種展開、新日本製麺・牛尾周平社長に聞く
食品製造業からグランピング施設の開業へ。新日本製麺の2代目社長、牛尾周平社長(44)に赤穂との関わりや狙いなどを聞いた。
-赤穂との関わりは。
「学生時代には神戸から海岸沿いの道をバイクで走って大石神社まで来た。昔から好きな場所で、忠臣蔵にも関心があった。忠義の大切さは若い世代や海外の人にも知ってほしい」
-施設の設置意図は。
「御崎灯台が隣にあり、瀬戸内海を180度見渡せる唯一無二の場所。忙しさに日々追われる中、非日常の環境で心身を解き放ち、訪れる人が気付きを得られる場にと考えた」
-異業種展開の理由は。
「コロナ禍に円安、原料高と中小企業を巡る状況は厳しい。じり貧状態で、成長する夢を描けない。将来の事業転換を見据え、難しい投資に手を上げた」
-建物は改修工事にとどめた。
「草ぼうぼうでムカデやトカゲもいて荒れ放題。取りつぶす前提だったが『建物はしっかりしている』と設計士に聞き、生かした。ドームテントの立つ場所も段々畑だった昔の景観に戻し、住民の方に懐かしい景色を思い出してほしい」
-隣に灯台がある。
「御崎灯台は来年3月に60周年を迎える。灯台は海の道しるべ。グランピング施設も訪れる人の自己成長につなげる場にしたい」