山口組分裂から7年 「神戸山口組」勢力は衰退一途、相次ぐ幹部への攻撃

2022/08/26 19:30

神戸山口組組長の自宅を狙ったとみられる発砲事件で、現場付近を調べる捜査員ら=2022年6月、神戸市北区

 日本最大の暴力団「山口組」(神戸市灘区)から神戸山口組(同市中央区)が分裂して、27日で丸7年となる。警察庁によると、この7年間に両組織が衝突する計140件(7月末時点)の事件が発生。一方で、この1年で神戸山口組からは中核団体の山健組(神戸市中央区)が山口組に移り、指定暴力団の池田組(岡山市)も離脱した。勢力では山口組が大差をつけたものの、抗争の着地点は依然として見えない。 関連ニュース 【図解】山口組分裂抗争を巡る構図 【年表】山口組分裂後の主な出来事 「飛んだのバレた?」海渡り夜逃げ、駆け込んだのはかつての「敵」 ヤクザがカタギに戻るまで

■真偽不明の情報
 「神戸山口組の幹部数名が狙われる」
 7月下旬、外部から兵庫県警に真偽不明の情報がもたらされた。県警の暴力団対策課は各署に対応を指示。名前が挙がった幹部の自宅や事務所周辺を警戒したが、攻撃は確認されなかった。
 捜査関係者によると、県警にはこうした抗争に関する情報が時折寄せられるという。ある捜査幹部は「多くが偽情報だが、市民に危険が及ぶ可能性を考えれば、どんな情報も無視できない」と話す。
 実際、今年に入ると、全国的に神戸山口組幹部の関係先が直接攻撃される事件が相次いだ。5月には大阪府豊中市にある入江禎副組長の自宅に車が突っ込み、6月には神戸市北区にある井上邦雄組長の自宅に銃弾が撃ち込まれた。今月1日にも福岡県の神戸山口組系事務所に車が突っ込む事件が起きている。
■締め付けが強まり…
 警察庁によると、全国で両組織が衝突したと認定された事件は2021年は3件だったが、今年は7月末までに既に5件が確認され、それ以外にも抗争との関連が疑われる事件がある。
 一方で今年6月には住民らの申し立てにより、神戸山口組から山口組の傘下に入った山健組の事務所が、神戸地裁から使用を差し止める仮処分を受けた。
 抗争の長期化で警察や社会による締め付けが強まり、山口組は篠田建市(通称・司忍)組長ら幹部の高齢化も進む。分裂から7年を前に、ある捜査員は「山口組が抗争の幕引きを図るため、より攻撃姿勢を強める可能性もある」とみている。
 【山口組の分裂】現在の「6代目山口組」体制の組織運営や高額な上納金(会費)への反発から2015年8月、一部の直系団体が離脱して「神戸山口組」を結成した。両組織が衝突する事件が相次ぎ、警察庁は16年に対立抗争状態と認定。17年には神戸山口組から「絆会(旧・任侠山口組)」が再分裂し、21年には「池田組」もたもとを分かった。

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