「兵庫県日本ロシア協会」から洲本市が脱会 ウクライナ侵攻に抗議、豊岡市も退会へ

2022/08/29 17:45

洲本市役所=洲本市本町3

 兵庫県洲本市は、国際交流団体「兵庫県日本ロシア協会」から脱会した、と明らかにした。同市は、江戸時代の豪商高田屋嘉兵衛(1769~1827年)ゆかりの地。嘉兵衛がロシアとの軍事衝突の回避に尽くした功績に倣って相互交流に力を入れてきたが、脱会でウクライナ侵攻への抗議の意思を示すとしている。 関連ニュース 神戸「さんちか」に溶け込む非日常 ミサイル攻撃時は避難施設に 備えは郊外へも 神戸で修業の料理人が戦場へ「ウクライナ守りたい」 恩師は沈痛「武器持たないで」 ロシア料理店「なぜ巻き込むの」 ネットに心ない中傷 ウクライナ出身店主も被害

 嘉兵衛は旧五色町(現洲本市)出身で、北海道と上方を結ぶ北前船交易で活躍。幕府とロシアの間で起きた外交摩擦「ゴローニン事件」でロシア側に拘束されたが、信頼関係を築いて和解につなげた。
 旧五色町は2001年、サンクトペテルブルク市クロンシュタット区と姉妹都市提携を締結。合併で洲本市となってからも、青年訪問団が互いに行き来するなど交流を重ねてきた。
 メールや電話で現地とやりとりしてきたが、侵攻後は連絡していないという。また、今年8月の地域行事「高田屋嘉兵衛まつり」では、在大阪ロシア総領事館関係者の招待を見送った。
 県日ロ協会には、7月に脱会を申し出た。上崎勝規市長は「侵攻に正当性はなく、今は友好を深めるという状況ではない。姉妹都市提携の解除までは考えていない」と話す。
 同協会によると、会員は現在、個人や団体約70組。自治体は兵庫県と神戸、洲本、豊岡各市が加わり、年数回の集会などを開いている。洲本市は22年度の会費5千円を支払い済みで、同協会は年度末まで会員扱いするという。吉井昌彦理事長(64)は「(脱会は)仕方ない。侵攻が終わり、状況が改善したらまた加入してほしい」とする。
 一方、豊岡市も22年度いっぱいで退会する予定で、7月に申し出た。市の担当者は「今春から行財政改革の一環で、各外部団体の役員の見直しを進めているため」と理由を説明。「国際情勢とは関係ない」としている。(吉田みなみ、石川 翠)

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