【独自】最高裁、少年事件「永久保存」の全容把握せず 18年以降7件のみ、記録の一元管理に漏れ

2022/10/21 18:51

最高裁判所=東京都千代田区

 神戸連続児童殺傷事件の全記録が廃棄されていた問題で、全国で永久保存されている少年事件記録を神戸新聞が最高裁に照会したところ、最高裁が確認できたのは、2018年度以降の裁判所からの報告に限られ、全国で7件だった。00年に起きた「西鉄バスジャック事件」は、佐賀家裁が永久保存しているが、最高裁は把握していなかった。 関連ニュース 【図表】最高裁が把握する永久保存されている少年事件記録 元少年A、改名して生活か 「匿名の森」に消える 「少年A」の全記録、裁判所が廃棄 神戸連続児童殺傷、家裁「運用、適切でなかった」 内規に抵触か

 少年事件の記録は大きく二つに分かれ、少年審判の決定書や捜査記録などの「法律記録」と、家裁調査官の報告書といった「少年調査記録」がある。最高裁に、全国の家裁などから受けた永久保存の報告内容を尋ねると、18年4月から22年8月までの「2項特別保存(永久保存)」の報告文書を確認できたといい、法律記録が計7件、少年調査記録は計10件だった。報告したのは東京家裁、大阪家裁など7カ所。神戸家裁はなく、西鉄バスジャック事件の記録を永久保存している佐賀家裁も未把握だった。
 最高裁は「18年度以前にも、2項特別保存されている可能性がある」とするが、全国で永久保存されている少年事件記録を一元化できていない恐れがある。
 未成年が犯した少年事件の記録は、内規で原則「少年が26歳に達するまで」と保存期間が定められている。一方、最高裁通達は「全国的に社会の耳目を集めた事件」などの記録を2項特別保存とするよう促し、認定すれば報告を求めている。
 少年が検察官送致(逆送)されて起訴されれば刑事裁判となり、法律で一定期間の記録保管が義務づけられるが、少年審判で保護処分が決定すると、記録の保存期間が短くなる傾向がある。神戸家裁管内では、10年7月に宝塚市で当時中学3年で15歳だった少女が別の少女と自宅を放火し、家族3人が死傷した事件が、既に保存期間を終えている。(霍見真一郎)
【特集ページ】成人未満

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ