神戸の神出病院、運営法人へ改善指導を 患者虐待事件で弁護士会など7団体、兵庫県に初の要請書

2022/11/01 19:40

兵庫県に要請書を提出する7団体=兵庫県庁

 2020年3月に神戸市西区の精神科病院・神出病院で発覚した入院患者虐待事件に関し、兵庫県弁護士会や県精神福祉家族会連合会など7団体が1日、運営法人への改善指導を求めて兵庫県に要請書を提出した。 関連ニュース 患者を裸にして放水、キス強要や監禁も 看護師ら6人逮捕「リアクション面白かった」 患者虐待問題の病院、職員6割が「違法な隔離」認識 「指示聞いてくれなかった」患者の胸ぐらつかみけが負わす 看護師を書類送検

 事件では元看護助手の男が別事件で逮捕されたのをきっかけに、元看護師ら6人の虐待が発覚。男性患者に医療用ベッドを覆いかぶせて閉じ込めたり、男性患者同士でわいせつな行為をさせたりしていた。
 病院が設置した第三者委員会は今年5月に報告書を公表。09年以降、少なくとも看護師ら27人が関与した84件を虐待行為と認定した。原因として組織運営や経営の問題を指摘し、医療法人を管轄する県の対応についても「ずさん」と批判。県は21年3月に立ち入り検査を行ったが、事件発覚から1年以上が過ぎていた。
 7団体による県への要請は初で、要請書で「決議を欠いた前理事長への高額な報酬支給などについて県が指導監督をし、改善されない場合は業務停止を課す必要性がある」と指摘。県精神医療人権センターの西川良一副代表は「現場が変わっても、法人に改善する意志がなければまた同じことが起きる」と危惧した。
 県保健医療部の岡田英樹次長は「報酬支給を見直し、剰余金で院内の環境面を改善するなど、現在法人に文書で指導をしている。場合によっては立ち入り調査を検討する」とした。(小谷千穂)

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