17年前のいじめ問題 神戸市教委が報告書や関係者への聴取記録を被害者父に開示
2022/11/10 20:25
神戸市教育委員会=神戸市中央区東川崎町1
神戸市立小学校で17年前、当時5年だった男性が金銭を要求されるなどのいじめを受けた問題で、市教育委員会が内部調査の報告書や関係者への聴取記録を男性の父親に開示した。2010年の公文書公開請求では「ない」としていた文書の存在が後に明らかになったことに、市教委は「公文書に当たらないため不開示にしていた」と説明。被害者側は「問題をすり替えている」と反論している。
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男性は05、06年、複数の同級生から暴行を受け、7人に総額約50万円を取られるなどし、転校を余儀なくされた。07年には同級生3人の保護者に損害賠償を求めて提訴し、一審、二審ともにいじめが認定され、勝訴した。
しかし、市教委はいじめと断定せず、「保護者の意向で被害者本人から十分な聞き取りができていなかった」と主張。10年の公開請求では学校側の聞き取りの文書が「ない」としていたが、21年の公開請求で、男性本人や加害者に聞き取った記録が開示された。
今回開示された10年の対応を巡る内部調査の報告書では「メモや備忘録の域を出ず、公文書に当たらないとして不開示の判断をした」とし、公文書公開制度を軽視した対応だったとした。
父親は「メモや備忘録扱いにした、と言い訳したところで、内容を把握していたのは事実。それを隠して裁判所に文書を提出し、議会で答弁していたことの方が問題」と主張している。
(大橋凜太郎)