不登校の子どもたちの自立支え四半世紀 神戸・垂水でフリースクール運営 NPO「ふぉーらいふ」に黒田裕子賞

2022/11/16 20:02

幅広い分野の団体が活動内容などを報告した「しみん基金・KOBE」の公開審査会=神戸市中央区元町通4

 神戸を拠点に阪神・淡路大震災など国内外で被災者支援に奔走し、2014年に73歳で亡くなった看護師の黒田裕子さん。その思いを受け継ぐ市民活動をたたえる「黒田裕子賞」の受賞者に、神戸市垂水区のNPO法人「ふぉーらいふ」が選ばれた。不登校の子どもたちの自立を支援するフリースクール「For Life」を運営し、「生活といのち」を教育理念とする四半世紀の取り組みが評価された。 関連ニュース 不登校の子らに居場所を 関学大「ボランティアサークル ベル」 月1回、工作や屋外遊び企画 虐待やヤングケアラー、ゲーム依存…増える不登校 神戸女子大・伊藤教授が背景の多様化指摘 フリースクール通う生徒ら対象に利用料の補助開始 加古川市

 同法人理事長の中林和子さん(76)が1997年、不登校や発達障害の子どもを支援するため、同市垂水区の自宅を教室として開放したのが始まり。元高校教師の中林さんは、明石市のフリースクールでボランティアを経験。いじめや人間関係に悩む子どもと出会い、「一緒に歩んでいこう」と決意した。
 現在はJR垂水駅から歩いて10分ほどの場所に移り、神戸、明石市の小中学生17人が通う。子どもたちの興味や関心に沿い、学習に加えて自然体験や地域との交流を重視。これまでに関わった子どもたちは約600人に上るという。
 中林さんは「法人の理念が、尊敬していた黒田さんの生き方と重なると聞いてうれしい。子どもたち一人一人のニーズに合わせるには、多様な学びが必要。教育の選択肢として学校外の学びの質を高め、継続していけるようにしたい」と前を見据えた。
 同賞は、黒田さんが理事長を務めた認定NPO法人「しみん基金・KOBE」(神戸市中央区)が2017年に創設。毎年1団体・個人を表彰し、今回が6回目となった。
 「しみん基金-」は、同賞の贈呈式に合わせ、非営利組織による市民活動への助成先を決める22年度の公開審査会も開催。審査員を前に多様な分野の団体がプレゼンテーションし、一般・特定枠を合わせ9団体に計約250万円の助成を決めた。(上田勇紀)

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