イチローさん×ミズノ、グラブの共同開発「A51」始動 宍粟のマイスター、名手のこだわり実現
2022/11/30 17:45
イチローさん(左)とグラブマイスターの岸本耕作さん=2021年11月、宍粟市波賀町安賀、ミズノテクニクス波賀工場(ミズノ提供)
スポーツ用品大手のミズノ(大阪市)は、プロ野球・オリックスや米大リーグ・マリナーズなどで活躍したイチローさんとの共同開発プロジェクト「A51」を始動した。第1弾の硬式用野球グラブが12月3日から、1500個限定で販売される。兵庫県宍粟市にあるミズノのグラブ・ミット製造拠点で、グラブ職人の最高位「グラブマイスター」が心血を注いだ。(村上晃宏)
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■エリア51
A51はイチローさんのマリナーズ時代、その高い守備力を称し、守っていたライトのポジションが背番号とかけて「AREA(エリア)51」と呼ばれていたことに由来する。
開発を手がけたのは、ミズノテクニクス波賀工場(宍粟市波賀町安賀)のグラブマイスター岸本耕作さん(65)。岸本さんは宍粟市波賀町で生まれ育ち、1976年に同工場に入社した。野球グラブの製作に携わり、2006年ごろからイチローさんのグラブ製作も担ってきた。グラブマイスターの称号は現在、ミズノの野球部門では岸本さんただ一人だ。
■「軽」と「剛」
イチローさんがこだわったのが「軽」と「剛」。極限まで革を薄くし、シンプルな設計を実現した。一方で大リーグ時代に打球の強さを感じたことから、捕球面の中指と薬指の先は当て革をして強化した。イチローさんのグラブのみに採用されているプラチナカラーのエンブレム(紋章)も施されている。
■最高峰のギア
「真っすぐに指がすっと入り、ストレスが少ないグラブ」。イチローさんの要求に対し、岸本さんは「トップアスリートを支える最高峰のギア」とのコンセプトを目指して製作に励み、試作品は4度に上った。昨年11月には同工場でイチローさんと対談し、A51の刻印の大きさやグラブ袋のデザインなど細部も詰めた。
岸本さんは「イチローさんとともに最高峰のグラブを完成させたことは、今後の励みにもなった。A51を宝物のように使ってもらえれば」とほほ笑む。
東京や大阪市などにあるミズノ直営4店舗と一部のミズノ野球特約店で販売。サイズ2種類の内野手用とサイズ1種類の外野手用で、価格は6万9300円(税込み)。ミズノお客さま相談センターTEL0120・320・799