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西脇工の1区を担った藤本珠輝主将(28)=23日、京都市の西京極陸上競技場(撮影・後藤亮平)
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西脇工の1区を担った藤本珠輝主将(28)=23日、京都市の西京極陸上競技場(撮影・後藤亮平)

 京都市で23日に行われた全国高校駅伝。男子・西脇工(兵庫県西脇市)3年の藤本珠輝(たまき)主将(17)は、ウイッグ(かつら)をかぶって憧れの都大路を駆けた。「同じ病気に苦しむ人へ、走る姿で勇気を与えたい」-。小学生の頃から全身の毛が抜ける病と闘い続けるエースには、特別な思いがあった。

 突然だった。同県加古川市立野口北小5年の秋、授業中に何気なく頭をかくと、髪が抜け落ちた。病院で円形脱毛症の診断を受け、年が明ける頃には全身の毛がほとんどなくなった。明確な原因はいまだに分からないという。

 「何で自分だけ…」。変わっていく姿を受け入れられず、行き場のない思いは家族にぶつけた。「怖かったんです。これから自分はどうなるんだろうって」

 加古川市立陵南中で陸上を始めると、1年おきに抜けては生えて-を繰り返した。免疫細胞の異常で風邪をひきやすい体と向き合い、競技では全国中学校駅伝に出場。高校で県内屈指の強豪へ進み、今年はチームの主力として部員を引っ張りながら、寮生活の合間を縫って2週間に1度、練習を休み病院通いを続けた。

 小学生時代には、時に周囲からからかわれ、心ない言葉を浴びせられたこともあったという。最終学年で「花の1区」を任されるまでに成長し、西脇工業高校陸上部の足立幸永(こうえい)監督(55)は「病で心が折れてもおかしくない中で陸上に打ち込み、誰よりも、何倍も頑張ってきた」とたたえる。

 「これまでは知られたくなかった」という病気のことを、今は「隠していても仕方がない」と笑う。懸命の力走を見せた最初で最後の都大路。チームは13位で入賞を逃したが、大舞台で先頭集団に必死に食らいついた姿は、大勢の目に焼き付いたはずだ。

 「すぐに治る人がいれば、何年たっても病気と闘い続ける人もいる。抜ける毛が一部の人もいれば、全身の人だっている。僕が話すことで、病気への理解が深まれば」。そう話す名門のエースは、さらなる成長を期して関東の大学で競技を続ける予定だ。(長江優咲)

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