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6月9日のエルサルバドル戦で左腕にキャプテンマークを巻き、安定した守備を見せた日本代表DFの昌子源=ひとめぼれスタジアム宮城(撮影・堀内 翔)
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6月9日のエルサルバドル戦で左腕にキャプテンマークを巻き、安定した守備を見せた日本代表DFの昌子源=ひとめぼれスタジアム宮城(撮影・堀内 翔)
初の海外挑戦となったフランスでの日々を振り返る日本代表DFの昌子源=三木市、三木総合防災公園(撮影・尾藤央一)
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初の海外挑戦となったフランスでの日々を振り返る日本代表DFの昌子源=三木市、三木総合防災公園(撮影・尾藤央一)

 サッカー日本代表のDF昌子源(26)=トゥールーズ、神戸市北区出身=が、神戸新聞社の単独インタビューに応じ、2020年東京五輪出場に意欲を示した。U-23(23歳以下)が対象のため、オーバーエージ枠での選出を念頭に、「オリンピックの期待を背負える、ごく一握りのアスリートの中に入れるのなら幸せなこと」と切望。今年1月の海外初挑戦や、何度もピッチをたたいて悔しがる姿が印象的だった昨夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会についても、包み隠さず語った。(有島弘記)

■フランス挑戦

 -J1鹿島からフランス1部リーグに移り、一番驚いたことは。

 「フィジカル。(リーグにはアフリカ出身の選手が多く)僕らが筋トレや体幹をして鍛える筋力がナチュラルにある。練習場に着いても、ストレッチをする選手はほとんどいない。クラブハウスにピザを注文し、コーラを飲んでも(腹筋は)バッキバキ。そこで勝負したら、日本人は勝てない」

 -センターバック(CB)として、どう適応したのか。

 「最初は(スピードで)ぶち抜かれたが、はなから深い位置を取るなど、自然とポジショニングを考えるようになった。日本では正対でボールを取れたが、向こうではスライディングが多い。そういう変化もある」

 「フランスはヨーロッパでも『個のリーグ』と言われている。(DF能力を上げるには)いいリーグ。(現地の選手は)自分のことしか考えていないから、ボールを持ったらドリブルしかしない。(味方の)カバーもない」

 -伸びしろを感じる部分か。

 「日本代表での対世界を考えると、その対応をしっかり身に付けたい」

 -CBは鳥取・米子北高に進学してから。FWからの転向が人生の転機になった。

 「CBでなければ、僕は今、ここにいない。プロになって余計に思うが、FWはうまい選手が腐るほどいる。(自身は)高校でスーパーやったかもしれないが、プロでは下の下ぐらい。そう考えれば、CB。日本ではでかい方(身長182センチ)だが、フランスでは下から数えた方が早い。この身長で勝負するのも、大きな挑戦」

 -DFのタイプとして予測を大事にしているように見える。

 「どちらかと言うと、頭でやっている。体の無理も結構利き、最後に脚が伸びるが、僕以上に向こうの選手は無理が利く。『届いた』と思ったら、向こうの方が先に脚が伸びている。それを自分の頭の中に入れてプレーしないといけない」

■W杯ロシア大会

 -海外志向はいつから。

 「W杯が終わってから。それまでは行こうと思っていなかったが、これを日常にしないと、いざという時に勝てないと思った」

 -ベルギー代表に逆転負けした決勝トーナメント1回戦がきっかけか。

 「(1次リーグ初戦の)コロンビア戦の時も、すごく感じた。あの時は完全におんぶに抱っこで、先輩にしがみついていた。次(2022年カタール大会)は30歳。自分もしっかり経験を積み、支えられるようになりたい」

 -W杯ではFW岡崎慎司(宝塚市出身)、MF香川真司(神戸市垂水区出身)に続き、兵庫から代表入りした。

 「サッカー界で兵庫トップの真司君と岡ちゃんに並んだとは思わないが、同じ舞台に立ち、神戸市から表彰(市スポーツ特別賞)されたのは、すごくうれしかった。兵庫に少しは貢献、協力ができたのかな」

 -ベルギー戦後、西野監督が発した「ロストフ(試合会場)で見上げた空を忘れるな」という言葉は今も頭に残っているのか。

 「残っていますね。ベルギー戦に関しては、ほとんど鮮明に覚えている。ただ、(試合映像を)見ようとは思わない。ニュースで流れれば、もちろん見るが、自分から『そろそろベルギーを見ようか』とは一生ならないと思う」

 「3年後のW杯が近づいた時、俺が悔しがっている映像(芝生に拳をたたきつけるシーン)が流れると思うが、できたら流してほしくない。4年前をぶり返す必要はないと、俺は思う。フランスで戦っている映像? そういうシーンを流してほしい」

 -W杯後、「有名になった」と感じたか。

 「W杯の後は本当にすごかった。どこに行っても気付かれる。インスタ(写真共有アプリ「インスタグラム」)のフォロワー数が物語っていて、W杯前は3万2千人ぐらいだったのが、今は9万人。W杯は視聴率が50%。それはすごい」

 ※1次リーグ初戦の瞬間最高視聴率は関西で50・7%

■東京五輪

 -来夏に東京五輪がある。オーバーエージ枠で出る野望は。

 「もちろん行きたい。オリンピックに出た人に聞いたら、誰もが『オリンピックはいいよ』と言う。東京でやるのと、よそでやるのは全然違う。その分プレッシャー、期待、批判は3倍ぐらい膨れるだろうが、そうしたものを背負えるのは現役時代だけ。オリンピックの期待を背負える、ごく一握りのアスリートの中に自分が入れるのは幸せなこと。W杯を含めて経験したい」

 -本田圭佑、長友佑都の両ベテランは出場を目指すと公言している。

 「行きたいのは、みんな一緒だと思う。監督が求めるポジションに不足があれば、選ばれる。佑都君らの経験は、いざという時に生きてくる。あの人らより経験はしていないが、伝えられる部分はある。(U-23世代と)年齢が近いし、そういうのも大事になってくると思う」

■日本代表の強化

 -W杯で日本代表の最高成績は16強。初の8強入りを果たすためにも、フランスの経験が生きてくるか。

 「(ベルギー戦の)最後に思ったが、日本は2点を先行して負けた。ふんわりとしたヘディング(ベルギーの1点目)が入ってしまうのがW杯だが、あれが入っても、日本は2-1で勝っていた。なのに『うわ、やばい』と思った。いかにどっしり構えるか。常にもまれている経験は絶対に生きてくる」

 -代表の強化で、個が先か、組織が先かの議論がある。

 「両方を上げないといけないのは間違いなくあるが、やっぱり個人。代表に選ばれる人は、戦術理解が早い。(6月の国際親善試合でも)ぱっと集まって、(基本システムとは違う)3バックができてしまう。より時間を掛けると、どんどん良くなるのは間違いない。W杯を見据えるなら、まず個を上げ、W杯が近づいた時に戦術をみっちりした方がいい」

 -日本代表のレギュラーに定着した手応えはあるのか。

 「正直、ない。麻也君(吉田)は十分知っているけど、槙野(智章)君もずっと一緒にやっていて、いい選手。トミ(冨安健洋)は非がないというか、全てをハイレベルでこなす。18、19歳で海外に出たのは、すごく良かった。Jリーグにいたら、下手すると埋もれていたかもしれない。あいつも言っていたけど、すごく成長していると。初めて一緒にやったのは3月で、この前が2回目。3月もいい選手やと思ったけど、今回も改めていい選手やと思った」

 「レギュラー争いは絶対にあること。自分のプレーを出せば自然とその道は見えてくる。麻也君不動では駄目だろうし、お互いに高め合って日本のCBのレベルが上がっていけば」

 -6月の国際親善試合の初戦(対トリニダード・トバゴ代表)ではFW大迫勇也、MF柴崎岳、CB昌子源と鹿島出身者がそろって先発した。

 「サッカーにおいて一番大切なセンターラインのポジションに鹿島の選手がいたのは現役の僕でも、すごくうれしかった。それだけで、鹿島のすごさが分かると思う」

 -2戦目(対エルサルバドル代表)はキャプテンマークも巻いた。

 「言い方が悪くなるかもしれないが、ただ巻いているだけ。みんなが、それらしいことをしてくれた。巻いて変わるようでは逆に駄目。責任はすごく感じたが、ピッチに入ってしまえば、ただ巻いているだけだった」

 -秋にはW杯カタール大会の2次予選が始まる。

 「予選を上がれるか、日本でも厳しくなっている。戦術を確認しつつ、しっかり勝負にこだわって勝っていく必要がある。(ロシア大会に向けた予選出場は)最終予選からだった。そういう初期のところから、どう大変なのか。カンボジアとはやりたくない。(同国の実質的な監督を務める)圭佑君が、どんな感じになるのかな」

■引退後のプラン

 -父の力さん(55)は兵庫県サッカー協会の技術委員長で、姫路独協大の男子サッカー部監督も務める。今は現役だが、指導者の道を見ているのか。

 「プロに入る前は『俺もおやじのように、兵庫で指導者として名をはせたろう』と思ったが、プロの監督を見ていたら…。高校は全員を従えられるが、プロは我の強い集まり。試合に出さないと、何か言ってくる。選手が試合に出て勝てないのに、首を切られるのは監督。本当に大変。もしやるなら、下の世代をしたいと思うが、欲が出てきて、『トップをやりたい』となっているかもしれない」

【しょうじ・げん】神戸市北区出身。フレスカ神戸、G大阪ジュニアユースを経て鳥取・米子北高に進学。高卒でJ1鹿島に入団し、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇など数々のタイトル獲得に貢献した。2014年、日本代表に初選出され、昨夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会に出場。今年1月、フランスのトゥールーズに完全移籍した。182センチ、76キロ。26歳。

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