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陸上車いす100メートルで急成長を見せる大矢勇気選手。東京パラリンピック出場に向けて11月の世界選手権に挑む=17日、明石市
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陸上車いす100メートルで急成長を見せる大矢勇気選手。東京パラリンピック出場に向けて11月の世界選手権に挑む=17日、明石市
陸上車いす100メートルで急成長を見せる大矢勇気選手。東京パラリンピック出場に向けて11月の世界選手権に挑む=17日、明石市
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陸上車いす100メートルで急成長を見せる大矢勇気選手。東京パラリンピック出場に向けて11月の世界選手権に挑む=17日、明石市

 2020年東京パラリンピックの陸上車いす男子100メートルの有力候補に、西宮市の大矢勇気選手(37)=ニッセイ・ニュークリエーション=が名乗りを上げている。7月の国内大会でアジア新記録を樹立し、東京パラの選考レースとなる11月の世界パラ陸上選手権に初出場が決定。競技生活を支えた母を亡くして以降、競輪選手を目指した兄の指導で急成長した。遅咲きのランナーは「開催国の祭典。出場したい思いが強い」と、世界選手権で上位入賞すれば、家族の夢に大きく近づく。

 大矢選手の人生は西宮香風高1年の16歳で一変した。通学しながら働いた工事現場の8階から転落し、脊髄を損傷。下半身まひとなり「生きている意味がない」。自殺を考えたが、数え切れないほどの家族や友人の励ましの言葉で踏みとどまった。

 事故後、車いすバスケットボールを始めたが、3年ほどでチームが解散。体を動かすことから遠ざかったが、05年に知人に誘われて参加した陸上大会の車いす100メートルで優勝。全国障害者スポーツ大会の代表にも選ばれた。

 この大会が転機になった。5人が出場したが、一般用車いすは大矢選手だけで、競技用車いすに勝てるはずがなかった。「悔しい」。同じ条件で勝負するために家族に懇願し、1台50万円で手に入れた。

 日々の練習には母洋子さんが付き添ってくれた。11年のパラリンピック・ロンドン大会を目標に記録を伸ばしたが、選考会当日に洋子さんががんのため62歳で死去。出場を見送った。

 「世界を目指して頑張れ」。母の遺言を力に練習に没頭したが、新たな苦難に直面した。床ずれで尻の皮膚が壊死(えし)し、14年の発症から練習再開まで3年を要した。16年のリオデジャネイロ大会は目指すことさえできず、目標を見失いかけたが、母への「恩返し」の一心で気持ちをつなげた。

 復活への道は、競輪の知識がある兄忠洋さんと歩み始めた。「全部が身になる。信じれば強くなる」。週末になると、11歳年上の兄の指導で坂道ダッシュなどに取り組み、得意のスタートダッシュを磨く。さらに職場の協力も得て、今年2月から午前中に事務の仕事を終えた後、練習に専念。トレーニングの密度が上がったことで、1年でタイムが1秒以上縮まり、7月のジャパンパラ陸上大会でアジア記録を更新する17秒54をマークした。人生初の日本代表にも選ばれ、母が期待した世界で戦える選手に進化した。

 「まだ100パーセント喜べない。世界と比べるとまだまだ」。今季の世界ランク1位は16秒41で、大矢選手の記録は5位(7月末時点)。11月の世界選手権で4位以内に入れば、東京パラリンピックの推薦選手に決まるだけに、短期合宿を重ねて底上げを図る。(有島弘記)

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