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世界舞台で得た収穫などについて語る田中希実=加古川運動公園陸上競技場(撮影・秋山亮太)
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世界舞台で得た収穫などについて語る田中希実=加古川運動公園陸上競技場(撮影・秋山亮太)
世界選手権女子5000メートル決勝で日本歴代2位の15分0秒01をマークして14位となった田中希実(手前)=ドーハ
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世界選手権女子5000メートル決勝で日本歴代2位の15分0秒01をマークして14位となった田中希実(手前)=ドーハ
神戸新聞NEXT
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 陸上女子中長距離界のホープ、田中希実(豊田自動織機TC、西脇工高出)が今季も目覚ましい活躍を見せた。10月の世界選手権では女子5000メートルで予選、決勝と自己ベストを連発し、東京五輪参加標準記録も突破。「楽しんで、今ある力を出せた。線にしてつなげていきたい」と瞳を輝かせる。(金山成美)

 ドーハで行われた世界選手権5000メートル予選。「自信を持てるくらい練習を積めていた。強い選手ばかりなので、考えずにすっとつけた」とスタートから飛び出し、レースの序盤は2番手で展開した。3000メートルを過ぎて周囲がペースアップしても「絶対離れられないと、必死に着順を取れる位置をキープした」と食らいつき、日本歴代3位の15分4秒66でフィニッシュ。倒れ込むほど力を出しきり、決勝進出を決めた。

 「落ち着いて周りを見ながら(雰囲気を)味わい尽くせた」という決勝は他の選手を利用しながらペース配分し、日本歴代2位の15分0秒01をマークした。予選からさらに記録を伸ばし「大きい舞台を乗り越えるだけでも心身ともに大変なことだけれど、つぶされずに結果を出せた」と充実感を漂わせた。

 一方、14位という結果には「決勝では他の選手も私以上に自己ベストを出してきて、世界のレベルの高さを痛感した」。昨年U20世界選手権3000メートルで優勝するなどジュニア世代の国際大会で実績を残してきた20歳が、初めて立つシニア世界一を決める戦いで貴重な経験を積んだ。

 同大2年。西脇工高ではトラックや駅伝で活躍し、卒業後は大学の陸上部に所属せず、クラブチームで活動する道を選んだ。今春からは元実業団ランナーの父健智(かつとし)さんがコーチに。意見を出し合いながら練習メニューを考え、二人三脚で鍛錬している。「スピード練習の質を上げ、心身が鍛えられて昨年より全体的に地力が上がった」と田中。1500メートル、3000メートル、5000メートルで昨年マークした自己記録をさらに塗り替え、初めて1万メートルにも挑戦。スピードもスタミナもアップし、すべての取り組みが相乗効果として結果に表れている。

 世界選手権で来年の東京五輪出場につながるポイントを一気に獲得し、参加標準記録もクリアした。それでも「安定感をつけ、今の自分よりもっと速くなって上を目指せる選手になりたい」と長期的な視野を持ちながら目の前のことに集中することを忘れない。

 「東京での五輪に出られたら財産になる。世界選手権を経験できて気持ちよかった。もっとこういう舞台に立ちたい」

 アスリートとして追求する先に、力を発揮する場が待っている。

【田中希実(たなか・のぞみ)】1999年9月4日、兵庫県小野市生まれ。母千洋さんは北海道マラソン優勝などを誇る現役市民ランナー、父健智さんも元実業団選手。幼少時からマラソン大会などで活躍し、小野南中では全国中学校体育大会1500メートルで優勝。西脇工高では兵庫県高校駅伝1区3年連続区間賞でチームの優勝に貢献した。昨年は3000メートルでアジア・ジュニア選手権、U20世界選手権を制し、今年の世界選手権5000メートルは14位。豊田自動織機TC、同大2年。153センチ、41キロ。20歳。

     ◇     ◇

■日本記録更新できる/北京五輪代表小林祐梨子さん

 世界舞台での田中の飛躍について、同じ小野市出身で2008年北京五輪陸上女子5000メートル代表の小林祐梨子さん(30)=兵庫県加古川市=もたたえ、選手としての持ち味を語った。

 あの瞬間、止まっていた日本女子中長距離界の時計の針が動きだしました。予選で自己新記録、決勝ではさらに上回って日本歴代2位の15分0秒01。初の大舞台で自己新なんて、なかなか出せない。ハイペースでも冷静さを保ち、自分をコントロールできていました。

 決勝前、私に似ている女子短距離米国代表のアリソン・フェリックスさんが会場のスクリーンに映ったようで「小林さんがいると思って勇気づけられました」と(笑)。

 20歳の若さで、ただ経験しにいっただけじゃなく、勝負した。レース後「課題と満足があった」とメールをくれて。自らに厳しい希実ちゃんから「満足」という言葉を聞いたのは初めてでした。

 彼女の最大の武器は、一人でも速いペースで押していけること。これをできる選手は少ない。スピードを磨くために5000メートルと1500メートルとの両立にこだわるなど、意志も強い。だからこそ、自分の決断に責任を持ったレースができる。このままいけば、(05年に)福士加代子さん(ワコール)が出した5000メートルの日本記録(14分53秒22)の更新も近いでしょう。(聞き手・藤村有希子)

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