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 東京五輪が1年程度延期される方針が固まった24日、兵庫県内では「仕方ない」と理解を示す声が上がる一方、チケット購入者からはため息が漏れた。開催時期など不透明な状況は続く。主役となるアスリートたちは不安を抱きつつも、「強くなる時間」と前を見据えた。

 五輪代表が内定している柔道女子52キロ級で金メダルが期待される阿部詩選手(19)=日本体育大。夙川高時代に指導し、今も稽古をつける同校柔道部コーチの垣田恵佑さん(29)は「イタリアなど他国の状況を見ると通常開催は無理。延期は仕方ない」と受け止める。

 阿部選手はこの日、母校で練習しており、垣田さんは相手を務めた。「詩は大会までの時間が増えることでより強くなれる、とポジティブに捉えていた。現状をプラスに考えられる選手が強いのだと思う」

 陸上女子5000メートルで日本のエース格の田中希実選手(20)=豊田自動織機TC、西脇工高出身=は既に五輪参加標準記録を突破し、最も重要な代表選考会の日本選手権を6月に控えていた。「1年後に今の力を維持できるか、確実に言えない点は不安がある」としながらも、「メンタルも身体も両方落とさないで上を目指していこうと思う」と気持ちを切り替えた。

 5月24、25日に県内14市を巡る予定だった聖火リレー。1964年東京五輪で、台風直撃のため聖火リレーを走れなかったランナーらでつくる「56年目のファーストランの会」の発起人の森純也さん(73)は「私たちは56年も待ち続けた。聖火リレーは仕切り直しになったが、また新しい目標ができた」。

 他国の代表チームの事前合宿地受け入れなどに奔走してきた県教育委員会の担当者は「まさか直前でこのような展開になるとは」と絶句。

 ウクライナとギリシャ、ベラルーシの水泳代表チームが事前合宿を予定している尼崎市。市教育委員会スポーツ推進課の苅田昭憲課長(51)は「中止でなくて良かった。1年程度の延期なら機運もなんとか保てるのでは」とほっとしつつ、「全てが仕切り直し。細かい状況の変化を見ながら対応を考えたい」と話した。

 一方、高倍率のチケットを手に入れていた購入者からは落胆の声が。バレーボールのチケットが当選していた南あわじ市の女性(44)は「力が抜けた。覚えたことのない感動をいっぱいもらえると思ってたのに…」と肩を落とし、「延期になった大会も今あるチケットで見られるようにしてほしい」と訴えた。(まとめ・前川茂之)

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