大学スポーツ、勧誘ピンチ 授業延期で新入生姿なく

2020/04/11 07:00

体育会の活躍を伝え、新入生の入学を祝う関学大の掲示板。学生の姿はまばらだった=6日、西宮市

 猛威を振るう新型コロナウイルスの影響は大学スポーツにも広がり、公式戦の中止、延期が相次ぐ。春は新入生の勧誘時期と重なるが、授業開始の延期で対面での活動ができず、会員制交流サイト(SNS)に頼るしかない。新年度を迎え、学生たちの戸惑いが続いている。(有島弘記) 関連ニュース 神戸大生3人が感染 3月にドイツ旅行 「どうぶつの森」が購入不能に 中国サイト、新型コロナ巡る批判? 布マスクの防御力低い 専門家が限界指摘

 全国レベルのクラブが多い関学大(兵庫県西宮市)は7日から学部の全授業が休講となった。21日から再開予定だが、原則オンラインで対応し、学内での授業は見合わせる。
 昨冬の全日本大学選手権で3位に輝いたサッカー部は、毎年のようにJリーグに卒業生を送り出し、今季もJ1G大阪のMF山本悠樹ら2人がプロ入りしている。5季ぶりの全国制覇を目指して始動したが、1日から練習を自粛し、複数人での食事や不要なミーティングを制限する。一方、体力維持のため、1キロ単位でペースを把握できるスマートフォンのアプリを活用し、選手たちは自宅周辺を走り込んでいる。
 所属する関西学生リーグは前期日程の中止が決まり、関西学生選手権の開幕も6月21日に順延された。名門を率いる高橋宏次郎監督は「プロ入りを考えている4年生にとっては人生を左右する1年。精神的なダメージは大きいと思う」と心配する。
    ◇
 カヌー部は初心者が大半ながら強豪として知られる。競技経験がない部員も一部のスポーツ推薦選手を手本に猛練習を積んでレベルアップ。2016年には女子が全日本学生スプリント選手権カヤック部門の団体2連覇を飾っている。
 初心者の入部が部の活性化につながるだけに大学の休講は痛手だ。例年、部員がキャンパス内でチラシを配り、週末の試乗会には毎回100人近くを集めるが、今年は開催できない。「全力で勧誘活動をする時期なのに…」と、4年生の中原拓也主務は頭を悩ませる。
 厳しい状況の中、部員集めに知恵を絞る。例年、ツイッターを使って笑顔の写真とともに先輩部員を紹介しているが、新たに大学から競技を始めた選手のインタビューを載せ始めた。親しみやすさをPRするとともに、授業の選択に悩む新入生の投稿にも反応。ネット上での関係づくりに力を入れている。
 目標の新入部員は男女合わせて15人。中原主務は「(動画サイトの)ユーチューブにプロモーションビデオも投稿している。できることをしていきたい」と競技同様、粘り強く取り組む。
【記事特集リンク】新型コロナウイルス

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ