フィギュア、村元・高橋組の注目度急上昇 25日から全日本
2020/12/16 05:30
練習を公開したアイスダンスの村元(左)、高橋組=10日、三井不動産アイスパーク船橋(代表撮影)
「アイスダンスの魅力を多くの人に知ってほしい」。そう話していた村元哉中(関大KFSC、神戸市東灘区出身)の願いがかないつつある。フィギュアスケート男子元世界王者の高橋大輔(関大KFSC)とのカップルで11月のグランプリ(GP)シリーズNHK杯でデビュー。「かなだい」の愛称で注目度は急上昇し、12月25日から全日本選手権の舞台に挑む。(山本哲志)
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NHK杯開幕前日。公式練習に現れた高橋の衣装に報道陣はどよめいた。リズムダンス(RD)の映画「マスク」の主人公をイメージした黄色のパンツ。高橋は「(派手な装いは)気分も上がるのでデビュー戦を後押ししてくれる」と照れ笑いを浮かべたが、アイスダンスは芸術性を争う競技だけに衣装も重要なポイントだ。
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肝心の演技はどうだったか。RDは64・15点で2位発進し、フリーダンス(FD)はターン技のツイズルでミスもあって93・10点の3位。合計157・25点も出場3組中3位だった。村元は言う。「試合を一回もしていないので、どんな評価をしてもらえるか分からなかった。(ステップやスピンで)レベルの取りこぼしがあったので、改善すればいい得点につながると分かった」
抱え上げて回転しながら進む「ローテーショナルリフト」は最高難度を獲得し、表現面を示す演技構成点は、1位の小松原美里、ティム・コレト組に迫った。高橋と同じく長光歌子コーチに師事した元選手でライターの今川知子さん=兵庫県芦屋市=は「見せ方が上手で華がある。滑りも(シングル時代から)年々うまくなっていると感じる」と、高橋の天性の表現力や努力をたたえる。
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ライバルたちの受け止めも好意的だ。米国出身のコレトは「2012年の四大陸選手権でボランティアをして一緒に(高橋と)写真を撮ってもらった。憧れの存在で尊敬の念しかない」。高橋と同じ岡山県出身の小松原も「私がスケートを始めた理由は高橋選手。そんな人がアイスダンスに光を当ててくれた。コロナ禍でなければ一緒に飲みに行ってインタビューしたいぐらい」と熱っぽい。
カップル競技はこれまで、北米やロシアに水をあけられてきた。国際スケート連盟名誉委員の平松純子さん=神戸市東灘区=は「五輪の団体戦でメダルを狙うためにはペアとアイスダンスの強化が不可欠。みんなで頑張ってほしい」と期待する。
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五輪金メダリストを育てたマリナ・ズエワコーチの下、村元、高橋組の歩みは始まったばかりだ。34歳の高橋は今後の目標について「目指せキングカズ」と掲げ、53歳で現役を続けるサッカーのJ1横浜FCの三浦知良を自らの将来に重ねる。
「シングルから転向して知らない世界が開けた。できないことを乗り越えることだけを考えている」と高橋。年齢や期限を決めず、目の前の課題に集中する。村元も言う。「どういうチームになるんだろうってわくわくしている。自分たちの良さを探していきたい」。2022年2月に北京冬季五輪を控え、来季は五輪シーズン。2人の歩みにかつてない注目が集まる。