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田中洋副所長(左)からフォームの指導を受ける姫路工業高の藤永大瑚投手=たつの市揖西町土師
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田中洋副所長(左)からフォームの指導を受ける姫路工業高の藤永大瑚投手=たつの市揖西町土師
神戸新聞NEXT
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 中高生の野球投手の多くが経験する肘の障害「野球肘」。近年は投球制限の議論が盛んだが、けがの予防には投球フォーム自体の修正も欠かせない。プロ野球選手の診察も担ってきた信原(のぶはら)病院(兵庫県たつの市)はこのほど、兵庫県立大学先端医工学研究センター(姫路市)などと連携し、肘に負荷の少ないフォームを科学的に解明したと発表した。(井沢泰斗)

 年間50~100人のプロ野球選手やドラフト候補の高校・大学生が訪れる同病院。プロ野球オリックスのチームドクターも務めた信原克哉院長(87)が約30年前に設立した「バイオメカニクス研究所」は、自前の投球マウンドや計12台の撮影カメラを備える。

 野球肘はボールを投げた際に肘の関節が強くねじれ、負荷によって軟骨が炎症を起こしたり、はがれたりする障害。同病院は、高校生投手107人のフォームを3次元映像化し、肘にかかるねじれの強さを計算。けがと動作の相関関係や、負担を軽減できる動きを統計学的に解析した。

 導き出されたのは、ステップ足(右投手なら左足)の着地時に意識すべき五つのポイントだった(図参照)。同研究所の田中洋(ひろし)副所長(40)は「特に(1)(4)(5)で体重移動をスムーズにし、肘への負担を減らすことが重要。球速にも大きく影響しない」と説明する。

 肩や肘の故障は投げすぎが原因となるケースもあり、日本高野連は主催大会で「1週間に500球以内」の投球制限を試行する。兵庫県高野連の田靡(たなびき)幸夫会長(琴丘高校長)も「投球過多はもちろん防ぐべき」とした上で、フォームの大切さを強調。「指導者は経験則だけに頼らず、科学的な研究成果や新たな情報を吸収して選手に提供すべき」と話す。

 論文は昨年12月、米国整形外科スポーツ医学会の論文誌に掲載された。県高野連も成果をまとめた資料を、加盟177校の顧問が閲覧できるサイトで共有している。

■投球指導体験 球児手応え

 研究者の助言受け改善「腕振りやすくなった」

 信原病院バイオメカニクス研究所(たつの市)などが提案する野球肘予防の投球フォームを、現役の高校球児に体験してもらった。

 会場は同研究所内の投球マウンド。昨夏、肩を痛めた姫路工業高2年の藤永大瑚(だいご)投手(17)が、全身に赤外線用の反射マーカーを張り付けて直球を投げ込む。モニターには、赤外線カメラで捉えた投球動作が3次元映像で再生された。

 数球を確認した田中洋副所長は「重心が落ちている。下半身をためず、目印を跳び越えるイメージで足を落として」と助言。その後、下半身の体重移動がわずかにスムーズになった。

 藤永投手は「腕が前に出やすくなった感覚がある」と手応えをつかんだ様子。「故障を防ぐ投げ方はあまり考えていなかった。夏までに習得し、痛めないようにしたい」と話した。

 田中副所長は「『肘は肩より上で、重心は低い方がよい』といった指導も行われるが、科学的に逆効果と分かっている。昭和から変わっていない投球指導を科学の力で変えたい」と強調した。

(井沢泰斗)

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