記者コラム〈サイドライン〉静寂と混迷の五輪、開幕へ
2021/07/22 20:10
東京五輪会場の青海アーバンスポーツパーク周辺も、人通りはまばらだ=2021年7月22日、東京都江東区
4連休初日の22日、東京臨海部のゆりかもめ線に揺られ、窓の外に目を向ける。「TOKYO2020」のロゴ入りの建物がいくつも見えた。でも人通りはまばら。五輪の開幕が翌日に迫っているとは思えない。
報道陣の拠点となるメインプレスセンター(MPC)に到着。記者証を機械にタッチすると同時に、マスクを外して顔認証を受ける。次に、空港の搭乗前のような手荷物チェック。静かな検査場に、日本人男性スタッフの「ハロー!」だけが響き渡る。警備の厳重さに、世界の祭典に足を踏み入れたと実感する。
各国の記者を受け入れるとあって、フロアには約700席が並び、さまざまな言語が飛び交う。日本より海外の記者が圧倒的に多い。新型コロナウイルス感染予防策で席を仕切る透明板を、スタッフが一枚一枚拭いて回っている。
ひと息つくと「開閉会式演出担当を解任」の報。五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は「全体を早急に見直す」。開幕直前にこのカオス。何が起きてももう驚かない。(藤村有希子)