重量挙げ・山本 満身創痍でスナッチ日本新「けがの悪化も実力のうち」
2021/08/01 05:30
男子96キロ級 スナッチで168キロに成功した山本俊樹
男子96キロ級で山本俊樹(ALSOK、兵庫県立三木東高出身)はスナッチで日本記録の168キロをマークしたが、ジャークで3回とも失敗し記録なしに終わった。エルバフ(カタール)がスナッチ177キロ、ジャーク225キロ、トータル402キロで金メダルを獲得した。男子81キロ級は呂小軍(中国)がスナッチ170キロ、ジャーク204キロ、トータル374キロで優勝した。
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母校・三木東高の部訓は「耐えて勝つ」。重量挙げ男子96キロ級の山本にこそ、ふさわしい言葉だった。ジャーク全3回で失敗し、記録なしに終わったが、「選ばれなかった選手たちのためにも最後まで全力で頑張る」とすべてを注いだ。右すねの骨の痛みに顔をゆがめながら。
緊張が高まる自国開催の大一番でも、スナッチの日本新記録をたたき出した。静寂の中、2回目で166キロに挑戦。バーベルを一気に頭上に掲げ、唇を結び、震えて耐える。成功のブザーに、右の拳を握った。3回目ではさらに2キロ更新した。
続くジャークの1回目。200キロのバーベルを肩から差し上げようとした瞬間、後ろへ落とし痛恨の表情。「痛みが強くて試技ができる状態ではなかった」という最終3回目は一番の拍手が送られたが、失敗した。
でっかい体ながら発言は控えめだ。2019年世界選手権では非五輪階級、89キロ級のジャークで優勝。日本男子42年ぶりの栄冠にも「まぐれ」と口を突いた。日本男子37年ぶりのメダルには届かず「けがが悪化するのも実力のうち」と目を潤ませた。(藤村有希子)