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世界王者となり、故郷の神戸に凱旋(がいせん)した谷口将隆=神戸新聞社
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世界王者となり、故郷の神戸に凱旋(がいせん)した谷口将隆=神戸新聞社
サインしたグローブを手にする谷口将隆=神戸新聞社
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サインしたグローブを手にする谷口将隆=神戸新聞社
グローブにサインする谷口将隆=神戸新聞社
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グローブにサインする谷口将隆=神戸新聞社

 世界ボクシング機構(WBO)ミニマム級の新王者となった谷口将隆(27)=ワタナベ、神戸第一高-龍谷大出=が故郷の神戸に凱旋(がいせん)した。昨年12月に2度目の世界戦に挑み、王者のウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)を11回TKOで下すまでの道のりを振り返り、王座防衛への誓いを新たにした。(藤村有希子)

 -王座に就いて1カ月。

 「今月3日に神戸に帰ってきてみんなが受け入れてくれ、実感と自覚が出てきた。(あいさつ回りで)うれしい忙しさ。地元の友達は『ほんまにベルトを持って帰ってきた』と驚いている。世界チャンピオンにならずに終わっていたら過去の負けが負けのままだったが、これで負けが意味のあるものになった」

 -世界戦で勝敗を分けたポイントは。

 「2ラウンドに奪ったダウンで精神的に優位に立てた。削り合いの中でお互いしんどい場面はあったが、11ラウンドに相手に効かせたパンチで、(勝利を)確信した。人生を懸けていた。得たものは、今までの比じゃないくらいあった。例えば自信。アマチュア時代は国体の準優勝が最高記録で、劣等感の塊だった」

 -どうやって乗り越えたのか。

 「やっぱりボクシングが楽しかった。(2019年2月に)世界戦に初挑戦して負けた時、(世界ボクシング協会〈WBA〉ライトフライ級スーパー王者の)京口紘人の立場のしんどさやプレッシャーを感じることができて、劣等感より尊敬の気持ちが大きくなった」

 -19年の世界戦で敗れて得た教訓は。

 「何ごとに対しても頭を使おうと、立ち止まって考えた。プランを何通りも用意したり、最悪の事態を想定したりと考えを深めた。寝ようとした時、急に起きてシャドーボクシングをしたことも。以前は考えが浅く、一つの手が通じなければ終わりだった。練習してきたことが試合では勝手に出ると思っていたが、そうじゃない。練習をやりきって、動く体で当日どれだけ策を巡らすことができるか。そのあたり、京口はさとい(賢い)。ボクシングは理詰めも大事。海外の選手は、それを力で無理やり砕くから面白いけれど」

 -負けて強くなるタイプでは。

 「根本的にばかなので、痛い目に遭わないと気付かない。ボクシング以外でも、努力の仕方を考えればどこかに正解はあると思う」

 -今回の世界戦前に心掛けたのは。

 「聖人君子のように生きようとした。家の近くにでっかいごみがあって、拾った方がいいかなと思ってごみ箱に捨てた。近所のクリーニング店の前に自転車が倒れていた時は、試されているのかなと思って、立て直したり」

 -神戸市立福田中1年でボクシングを始めた。きっかけは。

 「友達がやると言ったのと、父親が(ボクシング漫画の)『はじめの一歩』や『がんばれ元気』を読んでいて、僕も興味があったので。大学に入るまでの6年間、垂水フィットネスボクシングでやらせてもらった」

 -神戸第一高に進学した。

 「学校の裏の山をめちゃくちゃ走らされて、足腰が強くなった。新神戸駅から学校までの坂道が急で、夏は地獄。冬は寒いし。学校のボクシング部でランニングや基礎練習をして、垂水のジムでボクシングの練習をしていた」

 -龍谷大で学んだのは。

 「文学部で東洋史を。唐(中国)の時代の民俗史をテーマに卒論を書いた。大学には片道2時間かけて、垂水の自宅から通っていた」

 -大学卒業後、関東に拠点を置いた理由は。

 「最初は関西でやろうかと思っていたが、京口がワタナベジムからスカウトを受け、たまたま一緒に試合をしていた自分もジムから誘われた。おこぼれで入門。ジムには(WBAスーパーフェザー級王座を11度防衛した)内山高志さんら雲の上の選手から、これからの選手まで、刺激になる人がいっぱいいた」

 -競技をやめたいと思ったことは。

 「本気で思ったことはない。初めての世界戦で負けた時、チャンピオンになれるのかなと疑問を抱いたことはあった。その時に周りが『大丈夫、まだいける』と言ってくれたのが大きかった」

 -プロ野球の阪神ファン。

 「星野仙一監督の下、18年ぶりにリーグ優勝した時(2003年)はテレビにかじりついて見ていた。甲子園にはおじいちゃんとよく行った。印象に残っているのが金本知憲選手、ジョージ・アリアス選手、井川慶選手。プロ野球チップスをめっちゃ買っていた。僕も小学校3年から6年まで少年野球をやっていて。外野でめちゃくちゃ下手で、ベンチを温めていた。6年の時、身長が120センチぐらいと小さくて。甲子園で始球式をぜひやりたい」

 -特技は。

 「器械体操。バック転、バック宙ができる。球技はめっちゃ苦手」

 -故郷の神戸はどんな存在か。

 「帰るべき場所で落ち着く。須磨海岸が好きで、夏によく遊びに行っていた。神戸空港から三宮に行くまでに見える山や海の景色、垂水から須磨への電車内から見える平磯の風景もいい」

 -初防衛戦に向けて。

 「初防衛してやっとチャンピオンと言えると思うので、気合が入る。世界チャンピオンになったら満足するかと思ったら、また選択肢が広がったので楽しみ。防衛を重ねるか、他の団体のチャンピオンと戦うか、減量がしんどくなれば階級を上げるか、といろんな考えが出てくる。(達成したい防衛回数は)考えていないが、減量ができる限りはミニマム級で続けたい」

【たにぐち・まさたか】1994年1月19日生まれ。神戸市垂水区出身。6人きょうだいの4人目。福田中1年でボクシングを始め、神戸第一高へ。龍谷大時代に国体成年ライトフライ級準優勝。2016年にプロデビューし、18年に世界ボクシング機構(WBO)アジア・パシフィック・ミニマム級王者に。20年、同級の日本王座獲得。通算18戦15勝(10KO)3敗。左ボクサーファイター。162センチ。

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