田中希実、3種目代表へ「攻め切る」 陸上日本選手権女子1500m独走V、盤石の世界切符

2022/06/10 23:00

女子1500メートル決勝 3連覇を飾り、世界選手権への出場を決めた田中希実(撮影・小林良多)

 国内では敵なしに見えるが、女子1500メートルの田中は不安があったという。一緒に東京五輪に出場した卜部蘭(積水化学)やチームメートの後藤夢(豊田自動織機)の名前を挙げ、「3位以内を死守できないかも」とまで考えていた。3連覇で世界切符を無事に勝ち取り、ようやく「ほっとした」と穏やかに笑った。 関連ニュース 田中希実、異例の2種目挑戦完遂 中距離と長距離「集中して楽しめた」 視線は世界へ 兵庫リレーカーニバルGP 【写真】田中希実選手が出演する啓発動画 田中希実選手と400メートル走 児童ら驚嘆「はえー!」「さっきの走りは本気だった?」

 実際のレースは盤石だった。序盤は先頭の後ろについていたが、けん制し合ってペースが上がらない中、接触を避けて想定より早く前に出ることになった。それでも動じない。「決めたところでスパートをかけられた」と残り2周を過ぎて後続を突き放すと、ラスト1周は圧巻のスピードで独走した。
 不安の要因となったのは5月に敢行した米国遠征だ。シーズンベストの4分6秒35をマークした一方、世界最高峰のダイヤモンドリーグは最下位の15位に終わった。「手応えを感じずに戻ってきてしまった」という状態だった。
 1種目走り終え、「自分を取り戻すレースができた」と少し上向いた様子。11日は800メートルの予選、最終日は800メートル、5000メートルの決勝とあと3本も残っている。3種目での代表入りへ、「最後まで攻め切って、800も5000メートルも捨てない判断をしたい」。挑戦を続ける覚悟だ。(今福寛子)

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