全国大会経験者ゼロ 兵庫の高校ソフトテニス界に「国際」旋風
2022/07/11 06:00
練習に汗を流す神戸国際大付高のソフトテニス部員=神戸市垂水区の垂水健康公園
兵庫のソフトテニス界で神戸国際大付高が旋風を起こしている。6月に閉幕した同県高校総体男子では前評判を覆して団体、個人共に優勝し、全国高校総体(インターハイ)に駒を進めた。中学までに全国大会を経験した選手はゼロというチームが、なぜ躍進できたのだろうか。
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7月上旬、同校そばの垂水健康公園テニスコート(神戸市垂水区)。約30人の部員がみな、笑顔でラケットを振っているのが印象的だ。掛け声もよく響いている。藤岡凌監督は「『怖さ』を出すような指導はしたくない。みんな好きでやっているのだから」とうなずく。
29歳の指揮官自身も、実力派プレーヤーだった。太子高時代に個人と団体で県高校総体を制して全国舞台へ。中京大卒業後、地元姫路市の中学の常勤講師などを経て、2018年に神戸国際大付高に赴任した。
1年目は団体で神戸地区大会敗退、2年目は県大会で初戦敗退。新型コロナウイルス禍が拡大した3年目の20年、藤岡監督は「このままでは子どもたちが育たない」と指導方針を変えた。
部員たちに主体的に考えるよう促した。監督が「答え」を与えていたのをやめ、敗戦時にもペアやチームで話し合いをさせた。普段の練習から何をどう磨くかを部員自ら考え、練習後には指揮官が「何を意識した?」と尋ねるようにした。その中で生まれた合言葉は「自信満々、謙虚に」だ。
最大の転機になったのは、昨秋の県高校新人大会の団体3回戦敗退だった。「妥協したら弱くなる」(清原聖真主将=同県伊丹市立西中出身)と、練習時間を1日当たり2~3時間増やした。当初は足がつったり立ちくらみしたりする部員もいたが、徐々にタフな体と集中力を手に入れた。
同じく伊丹市立西中出身で主力の3年浦田惟生(いく)は、新人大会で「自分さえ勝てばいいと思って、みんなを引っ張れなかった」と反省。その後は仲間の模範になるよう、練習から緊張感を持ってきびきびと動き、チームの雰囲気を高めてきた。
◇
今年6月の県高校総体団体決勝では、県高校新人大会覇者の神戸星城を2-0で撃破し、頂点に立った。神戸国際大付の身上である、「先に仕掛ける」という積極攻撃がはまった。
大会前、神戸新聞が載せた展望記事には「神戸星城 V争い中心」の見出しが躍り、神戸国際大付の校名は一切なし。それを見た部員や指揮官は「周りを見返してやろう」と団結したという。
全国高校総体の男子は8月1日に愛媛県今治市で開幕し、神戸国際大付は団体1回戦で岩手の一関学院を迎える。前回準優勝の高田商(奈良)や同8強の三重、木更津総合(千葉)を含め、強豪がひしめくブロックだが、浦田は「厳しい戦いになっても自分たちのプレーを貫く」と迷いはない。(藤村有希子)