パリ五輪新競技ブレイクダンス 万能型ダンサー窪田雷音、頂点に照準 即興演技に際立つ感性
2022/07/27 05:30
14歳ながら国内一線級で活躍するブレイクダンスの窪田雷音=伊丹市内(撮影・鈴木雅之)
百獣の王のような堂々たるシルエットが見る人を引きつける。パリ五輪で日本勢の金メダルが期待される新競技、ブレイクダンス。尼崎市立立花中2年の窪田雷音(らいおん)は14歳で国内連盟の強化選手として代表候補に名を連ね、「最終的にはオリンピックで金メダルを」と夢を膨らませる。
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五輪競技への採用が決まった2020年、日本ダンススポーツ連盟の会見に、当時立花小6年の窪田は有望選手の一人として出席した。第1回JOCジュニアオリンピックカップで優勝したばかりの新星は「大きな目標ができた」と心を躍らせた。
本格的に競技を始めたのは6歳。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)でダンサーが頭を地面に着け、回り続ける姿を見て衝撃を受けたのがきっかけだ。
ブレイクダンスは、立って踊るトップロック▽かがんで手を地に着け、足さばきやステップをするフットワーク▽背中、肩、頭などを軸に回るパワームーブ▽止まるフリーズ-の動作が基本だ。
パワームーブを突き詰める選手も多い中、窪田はどの動きもハイレベルな万能型に成長した。競泳やサッカーを経験し、小学時代には相撲大会でも活躍するなど、体幹の強さが今に生きている。
最大の魅力は「立ち姿」という。伊丹市のダンス教室「JACKPOT DANCE FACTORY伊丹校」で窪田を教えるダンサー、Kakuさん(35)は「いい具合の猫背。米国のレジェンドたちのような立ち姿を、中学2年生にして表現している」と驚く。
1対1のバトル形式で争う採点競技で、技術や表現力、構成などが評価される。音楽に合わせて踊るが、DJがどんな曲を奏でるか分からないため、即応力が試される。
事前に何パターンも想定し臨む選手もいるが、窪田は違う。「即興派。バトルでは目つきが変わる」と母の綾さん(46)。曲に対するひらめき、感性を大切にするホープが目指すのは「めっちゃかっこよかった、やばかったねと言われる選手」だ。(藤村有希子)
【くぼた・らいおん】2008年4月3日生まれ、兵庫県尼崎市出身。166センチ、62キロ。3人きょうだいの末っ子。小学低学年から国内大会で優勝を重ねる。名前には「雷のように真っすぐ物事を貫く」「音楽のように世界の人々に愛される」などの意味が込められている。キックボクシングで活躍した那須川天心のファン。