但馬

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100年ほど前、豊岡市内で撮影されたとみられるコウノトリの写真。巣を作り、子育てする風景はかつて各地で見られた=(豊岡市提供)
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100年ほど前、豊岡市内で撮影されたとみられるコウノトリの写真。巣を作り、子育てする風景はかつて各地で見られた=(豊岡市提供)
今年4月17日にふ化し、すくすく育つコウノトリのひな=豊岡市城崎町戸島(撮影・秋山亮太)
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今年4月17日にふ化し、すくすく育つコウノトリのひな=豊岡市城崎町戸島(撮影・秋山亮太)
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 ■昔、コウノトリがいた/絶滅乗り越え迫る大台

 昔、但馬にはコウノトリがたくさんいた。

 おじいちゃん、おばあちゃんがまだ子どもだったころ、あちこちにコウノトリがおり、人のすぐそばで暮らしていた。白と黒の2色の羽を広げて空を舞い、湿地で魚を食べ、松の木に巣を作りひなを育てていた。

 太平洋戦争が始まると、燃料や木材として松がどんどん切られ、コウノトリは巣が作りにくくなった。戦後は農薬が盛んに使われて餌の生き物が減り、コウノトリも農薬入りの魚を食べてどんどん弱っていった。

 「このままでは滅んでしまう」。人もやっと取り組み始めたが、遅かった。今から46年前、空からコウノトリの姿は消えてしまった。

     ◆

 豊岡で捕獲された最後の1羽が死んだのは1986年。コウノトリが再び空に舞う日を願い、但馬地域では、99年に開設された県立コウノトリの郷公園(豊岡市祥雲寺)などを拠点に、人工飼育や放鳥といった、野生復帰の取り組みが進められてきた。

 1989年には、豊岡で初めてひなの人工繁殖に成功。2005年に再び野に放たれた若鳥たちは、つがい、卵を産み育て、全国へ飛び立っている。自然の中で傷ついたり、病気で死んだりしたものを除いたその数は、今や95羽まで増えた。豊岡市周辺でも約50羽が野外で生きるとされる。

 野外でひながふ化し、育つのは長く豊岡市周辺だけだった。しかしこの春には初めて、徳島県鳴門市でひなが誕生。今も全国で20羽以上のひなが育つ。

 その巣立ちと共に、野外のコウノトリの数は今年、100羽の大台に乗る。長年見守ってきたコウノトリ湿地ネット(豊岡市)の佐竹節夫代表(67)は「コウノトリという種は今、上昇気流に乗っている」と、まぶしそうに空を見上げた。

     ◇

 絶滅から30年。道のりは険しかった。もし最初の卵がかえらなかったら、もし病気が流行していたら-。一つでも歯車がずれていれば、今、空を舞うコウノトリは見られなかっただろう。野外100羽へのカウントダウンを前に、これまでの道のりをたどる。(阿部江利)

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