但馬

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赤い岩の割れ目=新温泉町
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赤い岩の割れ目=新温泉町
マグマが岩の割れ目などから吹き出した通り道「岩脈」=新温泉町
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マグマが岩の割れ目などから吹き出した通り道「岩脈」=新温泉町
豊岡市赤石の「玄武洞」
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豊岡市赤石の「玄武洞」
シワガラの滝=新温泉町
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シワガラの滝=新温泉町
神戸新聞NEXT
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神戸新聞NEXT

 21日付の神戸新聞但馬版に引き続き、今回は但馬のギモン「山陰海岸ジオパーク」後編。兵庫県但馬の絶景がどのようにできたのか-という疑問を解決すべく、前回は日本がまだ大陸の一部だった頃から、島国になるまでの歩みをたどった。掲載後、読者から「もっと詳しく」というありがたい声もいただいた。それでは今回もジオパークに詳しい兵庫県立大講師の松原典孝さん(38)をガイドに、張り切って時間旅行の続きを始めよう!(阿部江利)

 ③日本海の拡大期

 前回、少しだけ触れた新温泉町三尾の「但馬御火浦」。ここは、マグマが冷え固まる時にできた割れ目模様「柱状節理」で知られる「三尾大島」が有名だが、前回紹介した獅子が口を開けたように見える赤い岩の割れ目も、日本海が広がる最中に、地下からマグマが吹き出た名残だ。

 約2500万~2千万年前、何度も噴火が起き、幾層もの安山岩が重なった緩やかな火山に。表面のマグマに含まれる鉄分は酸素と反応し、酸化して赤くなった。その後荒波で表面が削られ、層の断面が露出して、酸化していない黒い部分と赤い部分が両方見えるようになったのが、今の景観の由来という。

 御火浦では他にも、マグマが岩の割れ目などから吹き出した通り道の「岩脈」や、かつてあった湖の水底の地層も見られる。地球からマグマが吹き出していた頃のまま、時が止まったかのようでもある。松原さんも「山陰海岸の中でも、ここは特に地質のバリエーションが豊富」と話し、“イチオシの場所”として見学を勧める。

 豊岡市では、竹野町切浜にある「はさかり岩」が有名だ。二つの岩の柱に丸い岩が、但馬弁で“はさかる(挟まる)”景観が特徴。この岩は、日本海が開く時にできた大地の割れ目に、土砂崩れが流れ込んで固まった、ゴツゴツした「れき岩」でできている。

 日本海はさらに開き続け、今の形が出来上がるが、実は約1500万年前、但馬地域が海の底に沈んでいた時期がある。山間部にある香美町村岡区では、市街地や標高が高い「蘇武岳」で魚の化石を含む海底の地層が観察でき、その証拠となっている。

 ④日本列島の誕生後

 日本が島国になった後も、火山活動は続く。ご存じ豊岡市赤石の「玄武洞」を形作る玄武岩の柱状節理は、約160万年前のこの時期、地下からマグマが吹き出し、六角形の柱状に冷え固まったもの。元は大きな岩の固まりだったが、江戸時代以降、但馬の先人がまちづくりに石を使い始めて掘り進んだため、今の洞窟の形になった。

 同市日高町の神鍋高原にある「神鍋山」は、山頂に噴火口がある近畿地方で最も新しい火山だ。噴火の時に流れ出した溶岩は「神鍋溶岩流」と呼ばれ、今では滝が連続する美しい渓流を形成している。新温泉町の扇ノ山山麓、標高約900メートルの上山高原も、この時期の火山噴火でできた。新温泉町のシワガラの滝のような、安山岩でできた風光明媚な滝が多いのが特徴だ。

 豊岡市の竹野浜や京都府の琴引浜といった山陰海岸の美しい砂浜や、鳥取県の鳥取砂丘など砂が織りなす景観も、日本が島国になった後から現在にかけて、長い年月をかけて川や海などから運ばれてきた砂によって出来上がったものだ。

 ⑤現在から未来

 2回にわたって山陰海岸のダイナミックな地形変化の名残を見てきたが、最後に大事なことを一つ教わった。松原さんは「ジオパークとは単に地形のことだけでなく、『地形と、そこに生きてきた人の営み』という考え方も含まれている。祭りや郷土食などの文化、街並み、地域住民のつながりなどが、丸ごと貴重な財産となっているのです」と強調する。

 そして今後も、地形は日々、刻々と変わるという。今年も7月上旬に大雨が降ったが、雨風や海や川の働き、人の営みで形は変わり続ける。氾濫を避けて高台に造られた家々や地滑り跡にできた棚田、豊岡市竹野町や新温泉町浜坂などで見られる砂丘や砂州の上にある町並みなど、山陰海岸の風景には、厳しい自然と共存してきた先人の知恵が詰まっている。「今、この時代を生きて、目の前の絶景を眺められることの奇跡を、今一度感じてほしい」と松原さんは言う。この記事をきっかけに、外に出て、実際に地形や但馬の街並みを見に行ってくれたらうれしいなあ。

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