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如来堂のチラシに掲載された「オシャライさん」
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如来堂のチラシに掲載された「オシャライさん」

 お盆に家の前や庭に不思議な形の棚「おしゃらいさん」を飾る兵庫県香美町香住区の風習について、15日付、22日付と2回にわたって紹介してきました。私が夏バテしなかったので、完結編をお届けします。あれだけ情報提供をお願いしたものの、残念ながら反響が少なかったため、自分で調べました。(黒川裕生)

 ■歴史

 さて、おしゃらいさんはいつごろ始まった風習なのか。答えはずばり、「分からない」。香住を中心に約250軒の檀家がある通玄寺(同区香住)の大崎弘義住職(73)は「江戸時代中期とか…でしょうか」と一応推察はしてくれたが、証明する文献があるわけではなく、「私としては『分からない』としか言いようがない」とのこと。町教委の文化財担当にも尋ねたが、町にも由来などを記したものはないという。

 ■分布

 13日から14日にかけて、香住区の海沿いを西端の余部から東端の相谷まで、おしゃらいさんを求めて歩いた結果、東は佐津地区の訓谷を境にぷっつりと姿を消すことが分かった。訓谷にも3軒ほどしかなく、そこからさらに東の安木、相谷では皆無。住民に尋ねても「この辺では見掛けない」と口をそろえた。

 では西はどうか。浜坂支局の小日向務記者によると、余部に近い新温泉町東部の一部でもおしゃらいさんを飾る風習はあるらしい。そして南は、ある情報筋によれば、香住区と接する村岡区の一部でも確認できるとか。いずれにしても、香住の中心部がおしゃらいさんの一大拠点であるのは間違いなさそうだ。

 ■呼び名

 「おしゃらいさん」というかわいらしい呼び名は、「お精霊(しょうりょう/しょうろう)」が転じた説が有力。一方、数少ない情報提供の一つに、京都市出身の男性(70)からの「京都では盆の行事を『お招来さん』と呼ぶ地域があるので、それが由来では」というものがあった。が、前出の大崎住職は「これが正解というものはない」と、どちらの説も否定しない。

 ところで、余部周辺で多く耳にした「サイライ棚」「サイリ棚」に関しても、面白い話を聞いた。地元の80代女性によると、「ここらではみんなそう呼んでいたけど、20年くらい前から葬儀屋さんが『おしゃらいさん』と言い始めて、段々そちらの方が広まった」というのだ。その「葬儀屋さん」とは…。

 ■既製品

 葬具なども扱う創業44年の香住の葬儀会社「如来堂」。何を隠そう、先述の「ある情報筋」の正体もここだ。集落を回っていると頻繁にその名前を聞いた。なぜならこの会社、なんとおしゃらいさんを販売しているのである!

 「創業後しばらくして、お客から『作ってほしい』という声が届くようになり、手作りして売り始めた。今は大工さんに外注している」と尾崎芳和社長(58)。同社のチラシには、スタンダードな形状の「オシャライさん」が確かに掲載されている。年平均で20個ほど売れるという。

 今年購入した70代の夫婦は「全国チェーンの仏具店などで何年も探したけど見つからず、途方に暮れていたので助かった」と苦笑。昔はそれぞれの家で自作するのが当たり前だったそうだが、今後はこうした「既製品」に少しずつ入れ替わっていくのかもしれない。

 ■最後に

 通玄寺のほか、長福寺(一日市)、願行寺(同)の住職にも取材したが、誰もが「香住が誇るべき素晴らしい文化だ」と力を込めた。ただ、願行寺の伊藤無學住職(57)が「高齢化の影響か、おしゃらいさんが少しずつ少なくなっているように感じる」と漏らしたのが気になった。「この先も大事に受け継いでほしい」。大崎住職の言葉が、胸にしみた。

 想定より長くなったが、美しくまとまった。今回は、ここらでよかろうかい。(終)

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