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全国で3施設がモデルで策定した「避難確保計画」=豊岡市九日市上町
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全国で3施設がモデルで策定した「避難確保計画」=豊岡市九日市上町

 梅雨前線の停滞により、各地に大きな被害をもたらした西日本豪雨。兵庫県但馬にも初の「大雨特別警報」が発令された。円山川などを氾濫させた、2004年10月の台風23号時を上回る雨量が観測された豊岡市だが、当時のような事態には至らなかった。04年の被害を教訓に、治水力などハード面は強化されたが、住民の避難や支援などといったソフト面はどうだろうか。検証した。

▼在宅高齢者の支援は

 豊岡市は今回、市全域に「避難勧告」を発令したほか、日高町などの一部には一段階上の「避難指示」も出した。

 こうした指示や勧告を受けた際、1人で逃げるのが困難な高齢者や障害者ら「避難行動要支援者」については、対象者の名簿づくりを国が義務づけている。合わせて国は、誰がどこへ避難させるのかを事前に定める「個別支援計画」の策定も促している。しかし県全体では17年6月時点で、名簿に掲載されている人のうち、計画があるのは4・5%にとどまっている。

 豊岡市は17年度末時点で、384人を名簿に掲載。名簿の対象ではないが、支援を希望する人らを含む545人に個別支援計画がある。また要支援者は、市内全区のうち約65%にあたる231区におり、133区が、要支援者や希望者への支援計画を作成しているという。支援する側のボランティア保険に市が一括して加入する制度を導入したことも、計画づくりが進む要因の一つになった。

 要支援者や支援希望者が23人いるという同市の下陰区には今回、7月7日正午に避難指示が発令された。防災士の西村充春区長(70)によると、避難準備情報や指示の発令時点で、区の役員らが対象者全員に意向を確認。このうち酸素吸入が必要な男性1人の希望を受け、住民が高台の避難所まで車で移動させた。避難はスムーズだったというが、西村区長は「避難情報に、全ての住民が適切に対応できたかというと課題が残る。避難の必要性を丁寧に説明していかなければ」と気を引き締める。

▼施設入居者の避難は

 16年8月、台風10号による水害で岩手県内の高齢者施設で入所者9人全員が亡くなったことを受け、高齢者らが利用する施設には、水防法などで、安全に避難させる「避難確保計画」策定が求められている。

 16~17年度、内閣府は全国で3施設を選び、同計画策定のモデル事業を実施した。そのうちの一つ、同市九日市上町の特別養護老人ホーム「ここのか」は昨年10月、約半年かけて計画を完成させた。

 同施設の立地では、円山川の決壊と、降った雨が市街地であふれる「内水氾濫」の両方を警戒する必要があるという。今回の大雨でも計画に基づき、円山川の水位や市の発表する情報を踏まえて人員配置などを実施。雨が本格化する前の7月6日午後5時には、1階の利用者を避難させるため、2階の避難スペースの準備を済ませた。

 今回は利用者を避難させる事態には至らなかったが、同施設の足立崇宏事務長(47)は「利用者の体の負担も考える必要があり、避難のタイミングを判断するのが難しい。計画策定によって施設のリスクが分かったが、備えはまだまだ不十分。計画はどんどん見直していきたい」と話した。(阿部江利)

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