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福井県高浜町に伝わる「精霊棚」(2017年8月撮影・上井壱雄さん提供)
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福井県高浜町に伝わる「精霊棚」(2017年8月撮影・上井壱雄さん提供)

 お盆に家の前や庭に不思議な形の棚「おしゃらいさん」を飾る兵庫県香美町香住区の風習について、8月15、22、31日付の紙面で紹介しました。前回で終わるつもりでしたが、私が遅い夏休みを満喫している間に、数件、気になる情報が寄せられましたので、あと1回だけお付き合いを! 31日付で「完結編」と書きました。では今回は「番外編」ということで。(黒川裕生)

 まずは写真をご覧いただこう。ネットで偶然記事を読んだ福井県高浜町の上井壱雄さん(63)から、「うちでも似たような風習がある」と届いたものだ。

 目を引くのは、木の棚を覆うように設けられたササ。上井さんによると、かつては木ではなく竹を切ってきて、棚やはしごをそれぞれの家で手作りしていた名残という。お盆が終わると、竹をまとめて川に流していたらしい。

 毎年新しく作るのが手間で、最近はこのような木の棚が広まった。「棚を飾る家もだんだん減ってきた」と上井さん。ちなみに高浜町ではシンプルに「精霊棚」と呼んでいるという。

■全国各地にも

 地元香住からは「おしゃらいさんが、『香住地域の特異なもの』という捉え方で書かれているのが気になった」とメールをいただいた。これまでの記事ではそこまで言及しなかったが、上井さんの例でも分かる通り、確かに「精霊棚」の風習自体は全国各地に残っている。

 信仰や儀礼に詳しい国立歴史民俗博物館(千葉県)の関沢まゆみ教授によると、岡山県の「ボニ棚」、福井県や愛知県の「盆棚」など、中国地方から北陸、四国、東海へと広がる様子が確認できるという。「いずれも先祖の霊が棚の上まで上がれるように、はしごがついているのが特徴」とのことだが、香住でははしごのない家も多かった。時代や場所で変化していったのだろう。

 「基本的なことが報じられていません」というご批判も頂戴した。宗派の違いだ。

 私も当然そこには留意しており、おしゃらいさんのある家では必ず寺の宗派を確認した。その結果、真言宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗など多岐にわたったが、浄土真宗など一部でこの風習がないことが分かった。ちなみに前述の上井さんは臨済宗である。

 お察しの通り、香住でのおしゃらいさんの分布状況は、寺の宗派の分布とも関係する。が、これ以上は話が長くなるので割愛。

■おしゃらいさん銀座

 最後に念のために確認したが、おしゃらいさんがいつごろから続く風習かは、関沢教授もやはり分からないそうだ。「民俗・習俗の起源は、記録に残っていないのが普通です」。ただ、「仏教の影響を受ける前の、素朴な民俗信仰のあり方や、お盆の先祖の祭り方を伝承しているもの」として注目されるという。

 ところで関沢教授は数年前、実際に香住で調査もしている。家の前におしゃらいさんが並ぶ光景を見て「まるで“おしゃらいさん銀座”のよう」と、その美しさに感動したという。

 長い旅になりました。皆さんも、来年はおしゃらいさん銀座のそぞろ歩きを楽しんでみては。ちょっと不思議な感覚が味わえますよ。では、今度こそ本当に終わります。さようなら。

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