但馬

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日本酒造りに取り組む岡本英樹さん(右)と田村豊和さん=新温泉町
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日本酒造りに取り組む岡本英樹さん(右)と田村豊和さん=新温泉町
復活する酒蔵の予定地=新温泉町用土
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復活する酒蔵の予定地=新温泉町用土

 半世紀ぶりに本格的な酒蔵を復活させるプロジェクトが、兵庫県新温泉町で進んでいる。但馬杜氏(とうじ)の里と呼ばれる同町だが、日本酒造りをする酒蔵は町内に絶えて久しく、杜氏の高齢化や後継者不足にも直面している。酒蔵復活で、同町を中心に生産される酒米「兵庫北錦」を活用しながら若手杜氏への技術継承を図り、観光振興などにもつなげる。(小日向務)

 酒造りは元々、冬を中心に行われてきたため、雪国の農村などからの出稼ぎが多かった。但馬杜氏は日本を代表する杜氏集団で、美方郡の山間部から多くの人材を輩出し、西日本各地で活躍してきた。但馬杜氏組合の本部は、現在も新温泉町に置かれている。

 新温泉町内では古くから日本酒が造られていたが、1960年代半ばごろに途絶えたという。2000年代に京都市から移転してきた酒蔵もあったが、本格的な設立は約半世紀ぶりになる。

 事業に取り組むのは、前町長の岡本英樹さん(67)。自他共に認める日本酒好きで、町長時代から町内での酒造りを検討し、個人的に調べてきた。ただ、新規に酒造免許を取ることは難しいことが分かり、15年前から醸造をやめていた京都府京丹後市の酒造会社「永雄酒造」を今年初めに引き継ぎ、社長に就任。本社を新温泉町用土に移転した。

 移転先は元牛乳加工施設で、敷地面積は約300平方メートル。改修して、年内に醸造タンクやこうじ室などを設置する。行政的な手続きを経て来年3月にも醸造をスタートする計画で、2年目には約20キロリットルの製造を目指し、その後生産量を増やしていくという。

 移転費用などの事業費は、約6千万円。地域を活性化する施設として、国や町から補助金2500万円を受ける。同町の補助金を計上した一般会計補正予算案は、18日の町議会定例会で可決された。

 岡本さんに酒造経験はないため、同町在住のベテラン杜氏で、「現代の名工」にも選ばれている田村豊和さん(83)と、森口隆夫さん(76)を顧問として招く。若手社員2人を採用し、一定期間、酒造りを体験する「研修生」も受け入れたいという。

 また町内の宿泊施設と連携し、宿のオリジナル酒の製造なども検討するほか、町内産の兵庫北錦を使い、農業振興にも一役買う。

 田村さんは「先輩が育ててきた技術を、後輩に伝えたい。濃く、幅広い味わいの酒を造りたい」とする。岡本さんは「日本酒の醸造で、最後に優劣を決めるのは杜氏の腕。古くから蓄積されてきた但馬杜氏の技術を後世に伝え、地域活性化にもつなげたい」と意気込んでいる。

【但馬杜氏(とうじ)】兵庫県新温泉町や香美町の豪雪地帯を中心に、農家が冬に西日本各地へ出稼ぎに出る。江戸時代末には既に各地で広く活躍していた記録が残る。但馬杜氏組合によると、ピークの1969年には413人いたが、現在は28人に減少。杜氏は酒造りの最高責任者で、各酒蔵に1人しかおらず、蔵人(くらびと)と呼ばれる職人を率いて作業を進める。

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