兵庫県新温泉町が進める、地元食材を使ったお土産開発事業の一環で、トチの実を使った2種類の洋菓子と、とち餅やチーズクリームなどを組み合わせた“スイーツバーガー”が新たに誕生した。23日、同町丹土の但馬牧場公園で開かれる「但馬栃まつり」に登場する。まつりではこのほか、町内などの店舗が製造するとち餅の販売に加え、トチともち米の配分を変えたとち餅の食べ比べ、皮むき体験などもある。(小日向務)
■「とちーずおばあがー」開発 おばあかふぇ運営の但馬寿
湯村温泉街(新温泉町湯)で「おばあかふぇ」を運営する但馬寿(同町井土)は、「とちーずおばあがー」を開発。23日のお披露目の後は、同店で販売する予定だ。
とち餅をあんでくるみ、ホイップしたチーズクリームで覆う。さらにミカンとサクランボを加え、最後はパンでサンドした豪華なバーガー。美方大納言を使ったあんとチーズの風味がマッチし、果物の酸味がアクセントとなる。とち餅入りなので、食べ応えもある。
同店のメンバーが、専門家のアドバイスを受けながら、試行錯誤を続けて生み出した。
同社では以前から、「とちおはぎ」などトチを使った商品が人気。同社の久村謙藏常務は「トチは、日本で古くから使われてきた食材。あく抜きの手間に加え、その際に必要な灰の入手が難しくなり、近年はとち餅を生産する業者も減っているが、これからもおいしさを伝えていきたい」と話す。
23日は1個400円、50個限定で販売する。同日以降は、おばあかふぇで販売しながら、さらに味の改良を進めていくという。
■新たに2種類の洋菓子作製 和洋菓子製造販売「浜坂新杵」
軟らかいスポンジではさんだブッセと、トチの実を練り込んだバターパウンドケーキ。和洋菓子製造販売「浜坂新杵」(新温泉町浜坂)は、新たに2種類の洋菓子を作った。23日のまつりでは試食品を提供する。
もともと和菓子店で、現在はとち餅に加え、洋菓子も生産している。その経験を生かした新製品の生産だったが、「バランスが難しかった」と洋菓子担当の岡崎洋介さん(41)は話す。
風味を強調するためには、トチの実を増やすべきだが、洋菓子としてのおいしさも求められる。お土産として日持ちの良さを重視すれば、生菓子ほどのしっとりとした食感や味は出しにくくなる。
試作を繰り返し、「お土産としてよりおいしくするために、良いバランスが見つけられた」と岡崎さん。「昔ながらのやり方で作られたトチの実という素材を、もっと知ってほしい。それがトチも食べてしまう、シカなどの獣害に悩む地域への理解につながればうれしい」と話す。
今後も改良を加えた後、10月ごろから町内の道の駅などで販売する考えだ。
