但馬

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県北部農業技術センターで飼育される但馬牛の子牛たち=朝来市和田山町安井
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県北部農業技術センターで飼育される但馬牛の子牛たち=朝来市和田山町安井

 私たちに“口福(こうふく)”を感じさせてくれる但馬ビーフ。おいしい牛肉を食べられるのは、農家と但馬牛たちのおかげだ。しかしこの但馬牛、毎年約1万1千頭の子牛が誕生するが、実は父牛はわずか12頭しかいない。厳しい選抜試験を経て選び抜かれた、「スーパーお父さん」たちなのだ。(阿部江利)

 兵庫県北部農業技術センター(朝来市和田山町安井)によると、スーパーお父さんこと「基幹種雄牛」は、牛の肉の状態や血統の価値を評価した「育種価」が、特に高い超エリート牛だ。種雄牛は、県内の生産者に凍結精液が提供される。父牛を選び抜く制度は1960年代に始まり、今のシステムになったのは98年ごろからだという。

 選抜の方法は独特だ。基幹牛の候補になる牛は、雌牛に実際に子牛を産ませ、肉の量や脂肪の入り方を評価。血統も踏まえ、父牛としての偏差値を割り出す。

 12頭の基幹牛は年1回、その座を懸けた入れ替え戦に臨み、基幹牛の座を狙う「待機種雄牛」7頭と、自らの子どもたちの肉の出来栄えで競い合う。但馬牛には主に三つの系統があり、それぞれの系統ごとの戦いとなるという。

 待機牛は年齢ごとに1~4年生まで各7頭おり、入れ替え戦に臨むのは4年生。待機牛は農家の雌牛と交配して40頭の子牛を生産しているが、うち16頭を選んで2年前後太らせ、肉を評価した結果が、その父牛の命運に関わってくる。

 しかし、その待機牛も並大抵の牛ではない。県内の農家では、雄の子牛が年に約6千頭生まれるが、優秀な雌牛に生ませて選び抜かれた16頭だけが、待機牛にノミネートされる。体形や発育状況などでさらに選抜され、6千分の7まで絞り込まれたのが待機牛だ。

 雄牛は基本的に去勢されて肉になるほか、「戦い」に敗れた雄も「お肉になります」(同センター)。基幹牛とその座を狙う計19頭が戦い、優秀な種牛が残り、負けた7頭が肉となる。雌には母牛の道もあるというが、父牛の世界はより厳しい。スーパーお父さんも大変なのだ。

 銘柄牛として世界に名をはせる「神戸牛」や「特産松阪牛」は、純粋な但馬牛をそのまま育てたもの。但馬牛のお父さん12頭とはすなわち、この二つの有名な銘柄牛のお父さんでもある。

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