但馬

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神輿を修理した福岡八幡神社の祭りで再会した井上美希さんの家族と橋本晃子宮司(中央)=福岡八幡神社
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神輿を修理した福岡八幡神社の祭りで再会した井上美希さんの家族と橋本晃子宮司(中央)=福岡八幡神社
100年ぶりの修理を終え、住民らに披露された神輿=福岡八幡神社
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100年ぶりの修理を終え、住民らに披露された神輿=福岡八幡神社
神戸新聞NEXT
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 すっきり晴れ渡った秋空の下、境内に住民50人が集まった。9月14日。兵庫県香美町村岡区福岡の集落を一望できる小高い丘にある福岡八幡神社。住民たちの傍らには、100年ぶりの修理を終えた神輿が、金箔の美しい輝きを放っていた。

 100戸余り、約270人が暮らす福岡地区は同町内でも比較的大きな集落。記念写真に納まる氏子たちの最前列、中央に座るのが第19代宮司、橋本晃子さん(50)=大阪府豊中市=だ。

 「大きくなったね。みんな元気そうで」

 撮影後、橋本さんは井上美希さん(38)に声を掛けた。生後10カ月の響心ちゃんを抱いている。

 井上さんは2年前の10月、同神社で結婚式を挙げた。提案したのは美希さんだった。「白無垢姿を近所の人にも見てもらいたくて。橋本さんは準備の段階から相談に乗ってくれた」と振り返る。

 前宮司で4年前に亡くなった母の玲子さんから引き継いで10年ほどになる。「氏子さんの願いを神様に橋渡しするのが私の役割」と橋本さん。神前での結婚式は、玲子さんもかつて手掛けたとは聞いていたが、全く初めての体験だった。「神職を継いで10年、ようやく自信というか、手ごたえを感じてきた」と笑う。

 翌15日が秋祭りの本祭。氏子がお旅所まで神輿を担ぎ、練り込みも行った。境内では豊岡市の伝統芸能「法花寺万歳」や新温泉町に伝わる「歌長大神楽」が奉納され、祭りに華を添えた。

 「100年ぶりの事業に関われて感謝しかない」と振り返る西谷仁区長(69)は「宮司さんは気さくな性格で助かっている。地元に住んでいないことを気にしているようだが、声を掛ければフットワーク良く来てくれる」と感謝する。

 京都府大山崎町に育った橋本さんは幼い頃、夏休みなどの休暇には宮司だった祖父の家があった同地区で過ごし、地元の子どもたちと遊んだ。「故郷ではないけど、福岡は大切な場所」

 一人娘だったため宮司を引き継ぐとは思っていたが、父親からせっけん製造業の社長を継いだのは「想定外だった」と笑う。「神職だけでは食べていけないのも事実なんで」とも。

 16日以降、香美町南東部や養父市北西部の25カ所の秋祭りに出向く。福岡地区にある社務所横の自宅で生活しながら、祭りの日程が開けば、何度か大阪と但馬を高級車レクサスで移動する。「大きな車なので『もうけておりんさる』って言われるけど、長距離移動なので、安全面を考えて疲れも出ないようにしているの」と話す。

 祖父の時代は山深い道を自転車で各集落へ通い、氏子の家に泊まっていたという。

 「本拠地」の福岡八幡神社を皮切りに、10月20日までの長丁場がスタートする。「秋祭りの時期は気合を入れて、駆け抜ける感じ。体調を崩さないことにも気を遣わないと」と表情を引き締めた。

     ◇

 但馬各地の小規模集落で脈々と受け継がれてきた秋祭り。人口減少の中で伝統をどう守っているのか。宮司の視点から見た現状を伝える。(桑名良典)

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