但馬

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元実習生のウギア・レストゥ・ギナンジャルさん(中央)と濱根綾華さん夫妻。右端は綾華さんの父秀樹さん=諸寄漁港
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元実習生のウギア・レストゥ・ギナンジャルさん(中央)と濱根綾華さん夫妻。右端は綾華さんの父秀樹さん=諸寄漁港

 ズワイガニ漁が熱気を帯びる但馬の各漁港で、主力の底引き網漁などを支えるインドネシア人技能実習生の存在感が増している。現在は総勢104人が働き、全船員の2割超。2006年に兵庫県内で初めて受け入れを始めた新温泉町では、日本人船主の娘と結婚した元実習生が家族の一員となって漁に励み、後輩たちの良き相談相手にもなっている。(金海隆至)

 1月中旬、諸寄漁港(同町諸寄)。沖合底引き網漁船「美寿丸」(19トン)に乗り込み、出漁する船員ウギア・レストゥ・ギナンジャルさん(27)を、妻の濱根綾華さん(29)が見送った。船主兼船長は綾華さんの父秀樹さん(57)だ。

 ウギアさんは、インドネシアの水産高校を卒業し、台湾のマグロ漁船で働いた後、日本の技能実習制度に応募した。「賃金などの待遇が良いと親戚に勧められて決めた」という。現地の送り出し機関で約3カ月、日本語を勉強し、試験に合格。受け入れ先の浜坂漁協(同町)が派遣した職員の面接を経て2012年7月、19歳で来日した。

 雪を初めて見た但馬で、ズワイガニ漁は想像を絶する厳しさだった。一夜に何度も網を入れ、山のようなカニが甲板に引き揚げられるたびに洗い、選別して水槽へ。炊事も任され、寝る間も惜しんで働いた。「1年目は言葉も分からないからパニックになった」と振り返る。

 実習最後の3年目を迎えた14年7月。実習生が暮らす諸寄漁港の宿舎を、美寿丸の日本人船員と共に綾華さんが訪れ、ウギアさんに「見た目が優しそう」と一目ぼれ。程なく交際が始まった。

 しかし、技能習得が本分の実習生との恋愛が知れると、周囲から猛反対された。実習を終えてインドネシアに帰国したウギアさんを追って15年8月、綾華さんは単身渡航。イスラム教への改宗と結婚手続きを済ませて帰国すると、もう反対する人はいなかった。

 妻に先立たれた秀樹さんは当初、綾華さんと大げんかしたというが「本人たちが決めたことだから」と2人の意志を尊重。新たな家族として同居を始めたウギアさんを漁船の甲板長に据え、「若く素直なムコさんのおかげで、全盛期の半分ほどに落ち込んでいた水揚げ量が復活した」と喜ぶ。

 ウギアさんは漁協の依頼を受け、後輩の実習生たちの仕事や生活の困り事、悩みなどの相談に応じるようにもなった。

 綾華さんとの間には一男一女が誕生。子育てを協力しながら永住許可の取得を目指す。「大変な実習を乗り越えられたから今がある。日本に来て良かった。家族の幸せのために頑張りたい」とはにかんだ。

■インドネシア人技能実習生は104人 組合長「漁業で不可欠の存在」

 但馬地域の漁業では、日本人船員の高齢化や過酷な労働環境で人手確保が困難な状況を背景に、インドネシア人技能実習生の受け入れは14年前から増加の一途をたどる。浜坂漁協(新温泉町)と但馬漁協(豊岡市、香美町)が窓口となる5漁港で現在、沖合底引き網漁船を中心とした船員471人のうち実習生は104人を占める。

 第13次まで受け入れを重ねる浜坂漁協では、所属する沖合底引き網漁船やイカ釣り漁船全17隻に各1~4人の実習生44人が乗員。川越一男組合長(65)は「浜坂の漁業で彼らは不可欠の存在。気質も勤勉で穏やか」と話す。

 滞在1~5年の実習生らは、各漁協が漁港内や近隣に用意した宿舎で生活。船員手帳を取得し、定められた賃金で働く。休漁日には地元の祭りやイベント、学校行事に参加するなど住民と交流を深めている。

 外国人の就労拡大を目的に昨年4月に新設された在留資格「特定技能」の取得者はまだいない。

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