但馬

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代替わりを決めた西垣源正社長。後ろに見えるのは卵かけご飯に使われる減農薬米の水田と、養鶏場の建物=豊岡市但東町栗尾
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代替わりを決めた西垣源正社長。後ろに見えるのは卵かけご飯に使われる減農薬米の水田と、養鶏場の建物=豊岡市但東町栗尾
西垣養鶏場の卵を使用したスイーツ。お手頃な値段で地域住民にも人気=豊岡市但東町栗尾
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西垣養鶏場の卵を使用したスイーツ。お手頃な値段で地域住民にも人気=豊岡市但東町栗尾
「但熊」の向かい側に池を作り、山口県の観光名所「錦帯橋」を模した橋を自作。ニシキゴイを千匹ほど育てている=豊岡市但東町栗尾
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「但熊」の向かい側に池を作り、山口県の観光名所「錦帯橋」を模した橋を自作。ニシキゴイを千匹ほど育てている=豊岡市但東町栗尾
卵の自動販売機=豊岡市但東町栗尾
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卵の自動販売機=豊岡市但東町栗尾
神戸新聞NEXT
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 人口約140人の小さな集落、兵庫県豊岡市但東町栗尾にあり、年間約4万人が訪れる卵かけご飯専門店「但熊(たんくま)」。卵かけご飯ブームの先駆けとなり、週末の2時間待ちも珍しくないばかりか、人気テーマパークのアトラクション並みの5時間待ちも記録している。当初は周囲から「そんなものに客が来るのか」といぶかしがられたという“逆転人生”の養鶏農家、西垣源正さん(69)が近く、店を2代目に譲る。(石川 翠)

 店名には「ツキノワグマも生息するほど自然豊かな但馬」という意味を込めた。しかしそれは「何もない田舎」でもある。

 そんな場所で注目を集めるようになった西垣さんの原点は、中学1年の弁論大会という。進学や就職で将来は都市部へと出て行く同級生が多い中で「自分はここで生きていく」と発表。高校卒業後、父親から西垣養鶏場を引き継いだ。

 高級な魚粉など約25種類の原料を自ら配合したエサを鶏に与えるなど、コストをかけたこだわりの卵。1万羽を飼育するものの、養鶏場の中では小規模といい、これだけでは生活できないため減農薬米の栽培も始めた。

 2001年には野菜直売所「百笑館」を開設。無休の運営と、新鮮な野菜は口コミで広がり、軌道に乗り始めた。一方、米は思ったよりも売れない。

 うまい卵とうまい米-。思案して思いついたのは「卵かけご飯専門店」だった。単純な発想だが、全国的なブームになる前のこと。アイデアを周囲に話すと「家で食べられる卵かけご飯なんて、わざわざ人が来るのか」と言われた。

 まず、知人の元すし職人を招いてご飯の炊き方を研究した。小さな釜で分けて炊くことで、炊きたてを提供する。みそ汁と漬物を合わせたシンプルな定食350円(現在は410円)。「安くて本当にうまいなら、遠くても足を運ぶはず」と信じ、06年に開店した。

 半年後にテレビで紹介されると、若者を中心に、予想をはるかに上回る人が押し寄せた。時を同じくして「365日たまごかけごはんの本」が出版されるなど、全国でブームに拍車が掛かった。

 10年には卵を使ったスイーツ店「弐(に)番館」もオープン。翌年、養鶏場は農林水産業で最高の栄誉といわれる「農林水産祭・天皇杯」に選ばれた。

 雑誌の取材で訪れた作家森沢明夫さんは西垣さんに感銘を受け、「但熊」をモデルにした小説「ヒカルの卵」(徳間書店刊)を13年に出版している。

 西垣さんは「中学生の時の宣言を意地でやってきただけ。『但熊』はその集大成」とさらり。養鶏場など全てをまもなく、義理の息子の平岡康寛さん(48)が継ぐ。

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