但馬

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90周年を迎える「ヒグラシ珈琲」の山根勝三郎さん(左)と知也さん=豊岡市千代田町
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90周年を迎える「ヒグラシ珈琲」の山根勝三郎さん(左)と知也さん=豊岡市千代田町
「薪火」の焙煎機(手前)とガス釜の焙煎機=豊岡市千代田町
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「薪火」の焙煎機(手前)とガス釜の焙煎機=豊岡市千代田町
90周年を迎える「ヒグラシ珈琲」の山根勝三郎さん(左)と知也さん=豊岡市千代田町
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90周年を迎える「ヒグラシ珈琲」の山根勝三郎さん(左)と知也さん=豊岡市千代田町

 兵庫県豊岡市千代田町のコーヒー専門店「ヒグラシ珈琲」が8月、創業90周年を迎える。豆を鉄釜に入れ、薪(まき)の火でじっくり煎(い)る「薪火」焙煎(ばいせん)のコーヒーを創業当時から継承。「山陰最古のコーヒー店」とうたい、昭和期からモダンな若者や文化人らに愛されてきた。3代目の山根知也さん(36)は「日常にコーヒーがあり、必要とするお客さんがいる限り、ここに在り続けたい」と話す。(阿部江利)

 1925(大正14)年の北但大震災の後、復興してにぎやかさが増す市街地中心部の「大開通」で30(昭和5)年、故谷垣光次さんが創業した。開店当時、ヒグラシが「カナカナ-」と鳴いていたことから店名をつけたという。

 谷垣さんから店を継承し、販売も始めた親族の山根勝三郎さん(74)によると、当時はおしゃれな「モボ・モガ(モダンボーイ、モダンガール)」が流行の最先端だった時代。「交通の便が悪く“陸の孤島”だった豊岡で、コーヒー好きの創業者がコーヒー文化を根付かせようとしたのでは」と推測する。

 冬が厳しい土地柄だけに、温かい飲み物が好まれたのか「40~50年代には喫茶店街ができた」と勝三郎さん。50周年の時には喫茶スペースを拡張した。自宅でコーヒーを楽しむ人が増えると持ち帰りも充実させ、2006年には2号店を同市戸牧に開いた。

 熱源が薪しかなかった創業当時、焙煎機を鉄工所に手作りしてもらって誕生したのが「薪火焙煎」。直径40センチほどの鉄の筒をかまどに据え、薪をくべながら1~2時間半、焙煎する。豆がじっくり蒸し焼きになり、独特の香ばしい風味が出るという。

 同じ鉄工所が作った2号機を今も使用。知也さんは「薪火が店のルーツ。神事のような気持ちで焙煎している。全国的にも珍しいのではないか」と話す。

 店内には15種類ほどの自家焙煎豆をそろえ、季節や月ごとに一部を入れ替える。創業当時から守り続けるオリジナルブレンド「薪火」のほかはガス釜で焙煎するが、薪火が味のベースになっているため、いずれも深いりの味わいという。

 知也さんは「店が今もあるのは、特別ではなく毎日飲み続けられてきたおかげ。お客さんが求めるものを出し続けたい」と話している。

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