但馬

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但馬牛の子牛の競り市=養父市大薮
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但馬牛の子牛の競り市=養父市大薮
競りの順番を待つ子牛。猛暑対策で冷風が送られる=養父市大薮
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競りの順番を待つ子牛。猛暑対策で冷風が送られる=養父市大薮
牛の飼育に欠かせないブラシや面掛、鼻木など。牛の置物は非売品=養父市養父市場
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牛の飼育に欠かせないブラシや面掛、鼻木など。牛の置物は非売品=養父市養父市場
競りが行われる但馬家畜市場=養父市大薮
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競りが行われる但馬家畜市場=養父市大薮
神戸新聞NEXT
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 江戸時代以前から但馬牛の競りが行われたとされる但馬家畜市場はかつて、その地名が示すように兵庫県養父市養父市場(やぶいちば)にあった。街道沿いの旅館などで町が形成されたとされ、今も精肉店や牛の装具の販売店が当時の風情を残す。家畜市場は1973年、北西に約2キロ離れた同市大薮に移転。年9回行われる子牛の競りには県内各地の繁殖農家が数百頭を出品し、活況を呈している。新旧の「市場」周辺には、但馬牛を巡る人々の思いや暮らしがぎゅっと詰まっている。(桑名良典)

 紅葉の名所として知られる養父神社(同市養父市場)の近くに、但馬牛などの精肉を販売する平山牛舗がある。地元には「正月やお祝いの時は平山さんの肉」という家庭が多いのだとか。お盆前にも大勢の買い物客でにぎわっていた。

 「市場があったのは店の裏や。当時は食堂もやっていて繁盛したらしいよ」。社長の平山敏明さん(60)が教えてくれた。平山さんの思い出は三角ベースボール。市場の休業日には少年たちの格好の遊び場になったという。

 肉の卸も手掛ける平山さんは「サシの入った神戸ビーフも大事やけど、子牛を産んだ母牛『経産牛』も人気がある」という。赤身の味がしっかりしているとのことから、経産牛を売りにする小売店もあるそうだ。

 「隣は珍しい店やで」と平山さんに紹介されたのが雑賀商店。牛の飼育に欠かせないブラシやロープでつくる「面掛(おもがい)」、鼻木などの装具を取り扱っている。

 「ロープはカラフルでしょ。競りの日には縁起を担いで高級なものに変える」と店主の雑賀(さいが)学さん(59)。自分のひざを牛の鼻面に見立てて「牛に合わせてサイズを変え、こうやって着けるんですよ」と実演してくれた。4~5メートルほどのロープを巧みに操り、数分で面掛に仕立てた。

    ◇

 家畜市場があるのは県内では但馬と淡路の2カ所。7月8日、但馬家畜市場(同市大薮)で開かれた子牛の競り市には多くの繁殖農家や肥育農家が集まった。太田克典さん(同市)や上田伸也さん(香美町)らが有名。上田さんが出品する雌牛には競り前から人があふれ、注目を集めた。競りが始まると、太田さんが厳しい表情で目利きをする。

 牛の競りは独特だ。競り場に、丹精した牛を連れた繁殖農家が立つ。高額取引のため緊張感も漂うが、鳴いたり暴れたりする牛もいて、牧歌的な一幕も見られる。

 但馬牛を取り巻く環境は近年、神戸ビーフ輸出や新型コロナウイルス感染拡大などで大きく揺れ動いている。この日、雌と去勢を合わせた1頭当たりの平均価格は65万円台で、前年同期の7割程度。村尾忠司場長(59)は「牛海綿状脳症(BSE)騒動後には40万円台の時もあった。コロナ禍も乗り切れるといいが」と表情を曇らせる。

 「1909(明治42)年、第1回兵庫県畜産共進会が開かれたのが養父だった」と村尾さん。共進会は県内持ち回りで、昨年10月には但馬家畜市場で第101回が開かれた。県内各地の予選を勝ち抜いた成牛102頭がチャンピオンを競い、肉牛の部で名誉賞に輝いたのは太田さんの「菊宮」だ。

 図書館で文献を調べると、第1回共進会の際、黒毛和牛と欧州種と交配させようという大論争があったという。現在では他府県産の血を入れない「閉鎖育種」という手法が常識だが、明治時代にはまだ確立されていなかったのだ。

 雑賀さんは言う。「家畜市場のある但馬や淡路はもちろん、播磨や丹波、三田にも肥育農家や繁殖農家は多い。但馬牛は兵庫県の宝。先人が育んできたものを、みんなで守っていかなあかん」

 「兵庫五国」で支える但馬牛の歴史を担ってきた一人として、誇りをにじませた。

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