沖合底引き網漁の解禁日(9月1日)を前に、兵庫県新温泉町の浜坂漁協に所属する新造の沖合底引き網漁船2隻が完成し、諸寄漁港(同町諸寄)に「幸力丸」(60トン)が、浜坂漁港(同町浜坂)に「第一幸榮丸」(144トン)がそれぞれお目見えした。このほど開かれた竣工(しゅんこう)式では、地元住民らが両船の新たな門出を祝った。(末吉佳希)
諸寄漁港の新漁船就航としては13年ぶりの幸力丸は、全長22・5メートル、幅5・8メートルで、乗組員数は9人。水産庁のリース事業を活用し、総建造費約3億5千万円。鮮度を長時間保てる冷凍設備が設置され、網を巻き取る「ロープリール」が強化された。
24日に諸寄漁港で開かれた竣工式では、大漁旗をなびかせながら漁港に接岸。地元住民らの歓迎を受けた船主の山崎徳和さん(33)は「設備が大きく変わり不安もあるが、それ以上に新しい船で漁に出られることがうれしい」と喜んだ。
一方、浜坂漁港で29日に竣工式が開かれた第一幸榮丸は、全長32・1メートル、幅6・5メートル、乗組員数は12人でイカ釣り船としても活躍する。建造費は約7億円で「もうかる漁業創設支援事業」の助成制度を活用。
従来は居住スペースとして大部屋が船底にあったが、2~4人部屋に分かれたほか、トイレやシャワーなども充実した。船主の川越伸二さん(59)は「漁業にありがちな『3K』(きつい、汚い、危険)のイメージを取り払うことで漁業従事者の増加につながれば」と願う。
安全祈願の神事や地元保存会による麒麟(きりん)獅子舞の披露などもあった。
