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青壮年の指導を受けて稽古に励む中学生=香住自治区公民館
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青壮年の指導を受けて稽古に励む中学生=香住自治区公民館
小中学生らが力強く舞った訓谷三番叟=2019年10月2日、香美町香住区訓谷
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小中学生らが力強く舞った訓谷三番叟=2019年10月2日、香美町香住区訓谷

 秋祭りに伴い、兵庫県香美町の7地域で奉納される伝統芸能「三番叟(さんばそう)」。例年10月1日から順次始まるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、簡素化か、中止かの対応に迫られている。出演者や観客の密集を避けるため、4地域が既に中止を決定。少子化で小中学生の担い手確保が難しくなる中、実施する3地域は「地域コミュニティーの形成に欠かせない」などとして、感染症対策を講じながら本番に向けた稽古に励んでいる。(金海隆至)

 「足の運びを意識して」「節回しは堂々と」-。9月26日夜、同町香住区香住の香住自治区公民館。「千歳(せんざい)」「翁(おきな)」「黒木尉(くろきじょう)」の三役を演じる中学1年生3人に、所作を指導する青壮年ら約10人の声が響いた。

 三番叟は室町時代、猿楽を源流に、五穀豊穣(ほうじょう)や地域の安寧を願って大地の四方を踏み固める祈りとして始まったとされる。舞い手の三役に扮(ふん)した小中学生や青年は、謡や笛、鼓、拍子木のリズムに合わせて、力強く舞台を「踏む」。町内では香住区の6地域と小代区の1地域で伝承され、2018年3月に一括して県重要無形民俗文化財に指定された。

 最多約600世帯の香住自治区では、9月1日からほぼ毎夜稽古が続く。集まった全員がマスクを着用し、道具類は使用後に消毒するなど感染予防を徹底。10月5日の本番は、香住神社例大祭のみこし渡御が行われないこともあって、地区内の特設舞台で上演せず、神社拝殿で奉納した後、公民館で三役の保護者や関係者のみに披露するとした。

 三役は代々、地元の中学1年生から選ばれてきた。大勢を前にする機会は失われたが、翁役の中村颯汰さん(13)は「どの年代と比べても負けない翁を演じたい」と気丈に話す。父親の宗弘さん(49)も「祖父の代から続く経験が私で途切れるかと心配したが、自ら募集に手を挙げてくれてうれしかった」と目を細める。

 簡素化に加え、初顔合わせや稽古納めなどの日に交流を深める会食も当初は断念した。だが、9月下旬の中祝いで復活。香住三番叟実行委員会委員長の松岡大悟さん(46)は「稽古以外の場でも会話を交わすことから、大人と子どもが互いの素性を知り、多世代をつなぐコミュニケーションが生まれる」と話し、「コロナ禍で改めて、地域の存続に伝統文化が果たす役割は大きいと実感した」と語る。

     ◇

 香住区ではほかに訓谷地域が10月1、2日、下浜地域が5日に実施。一方で、一日市、森、沖浦の3地域と、小代区の新屋地域が中止を決めた。

 森区三番叟保存会は、中学生が三役を担う機会は2回まで認められている背景も踏まえ、「伝統より健康を守るべき。感染リスクを冒す必要はない」と中止の理由を説明。下浜三番叟保存会は、約1時間半の上演を1時間ほどに短くして住民に披露する方向で、「地域で代々受け継がれてきた芸。伝統の灯を絶やしたくない」としている。

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