国の特別天然記念物コウノトリの野外生息数が今年6月に200羽に到達したことを記念し、野生復帰の歩みを振り返るイベントが29日、豊岡市民プラザ(兵庫県豊岡市大手町)で開かれた。県内外の繁殖地や飼育地の自治体など9団体の代表者が各地の取り組みを説明し、意見を交わした。
人工飼育によって2005年から兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(同市祥雲寺)で放鳥が始まり、国内の野外生息数は17年6月に100羽に到達。そこからわずか3年で倍増した。
イベントは、野生復帰事業を応援する「コウノトリファンクラブ」(事務局・但馬県民局内)が主催。同公園職員や、県内の繁殖地である養父と朝来両市の市長ら5人が登壇したほか、同クラブの柳生博会長や、東日本で今年初めてひなが誕生した栃木県小山市など県外の関係者4人がオンラインで参加した。
同公園の大迫義人・エコ研究部長は100羽到達時と比べ、個体数の推移や移動距離の変化などを解説。国内の繁殖地が15カ所から28カ所に広がったことを受け、「遺伝の多様化が進んでいる」などと報告した。
また、2015年から放鳥を始めた千葉県野田市の担当者は、動画や会員制交流サイト(SNS)を使った生態や繁殖の様子の発信法を紹介した。(末吉佳希)
